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ここで分かる! 住宅ローンの減税制度について詳しく解説

2021年末までに住宅を住宅ローンで購入した方は、年末の住宅ローン残高に対して1%減税される住宅ローン減税制度が受けられました。

しかし、2022年から減税率が下がり、2022年以降に住宅を購入した方は減税率が0.7%となっています。そこで気になるのが2023年度の住宅ローン減税制度です。

ここでは2023年の住宅ローン減税制度について、詳しく解説していきます。

住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税制度とは、正式には住宅借入金等特別控除といい、年末の住宅ローン残高に対して所得税額の控除(減税)を受けられる制度です。

例えば、年末の住宅ローン残高が2,500万円だった場合2,500万円×0.7%=17.5万円がその年の所得税から控除されます。

もし所得税から控除できない場合には、その年の住民税から9.75万円を限度として控除されます。

所得税に限度はありませんが、支払っている所得税が限度となり、所得税から控除できないときは住民税から控除できますが限度額があることに注意しましょう。

では、住宅ローン減税の制度の仕組みや適用要件について詳しく見ていきましょう。

住宅ローン減税制度とはどんな減税?

2022年からの住宅ローン減税制度は、購入年によって借入限度額が減っていき、年々改悪されていきます。住宅購入は早い方が住宅ローン減税額は大きくなりますが、景気悪化等すればまた制度内容が変更される可能性があるため、住宅購入時には新聞やニュース等で最新の情報をチェックしましょう。

住宅ローン減税の仕組み

住宅ローン減税制度は、国民が安定した生活を送るために必要となる住居取得のための支払利息の軽減を図り、さらには広く住宅購入されることで内需拡大を促進させるために設けられた制度です。

年末の住宅ローン残高の0.7%を支払っている所得税から直接控除する流れとなっていて、直接税金を減らすことができることから、最も節税効果が高い制度と言えるでしょう。

最近借入利率が変動金利なら1%を割れるようになった現状から、これまで1%だった減税率が0.7%に引き下げられました。住宅ローンの仕組みについて、①対象住宅 ②対象住宅別限度額 ③住民税からの減税限度額 ④所得制限をポイントに解説します。

①対象住宅

住宅ローン減税は、10年以上の期間のある住宅ローンを組んだうえで、以下の住宅を購入または新築、リフォームすれば対象となります。新築、購入であればほとんどが対象となります。

住宅ローン減税の対象となるもの

①住宅の新築
②新耐震基準に適合している中古住宅の購入
③100万円超のリフォーム

※どれも50㎡以上であることが必要ですが、合計所得金額が1,000万円以下なら40~50㎡未満の住宅も対象となります。

借入金額は住宅購入するとともに借入金で土地を購入した場合の金額も含めることができますが、先に家を建築予定なく土地のみ購入したときの借入金は含めることができません。

住宅を借入金で購入、新築したときほとんどが対象となる住宅ローン減税ですが、減税対象となる住宅ローン残高には限度額があり、その限度額は住宅の種類によって異なってきます。

②対象住宅別ローン残高限度額

住宅ローン減税は、年末の住宅ローン残高の0.7%が減税される制度ですが、その住宅ローン残高には限度額があり、その限度額は住宅の種類によって決められています。

■2023年購入・新築限度額と控除期間
住宅の種類 限度額 控除期間
認定住宅等の新築、建売住宅購入 5,000万円 13年間
ZEH水準省エネ住宅の新築、建売住宅購入 4,500万円 13年間
省エネ基準適合住宅の新築、建売住宅購入 4,000万円 13年間
上記以外の住宅の新築、建売住宅購入 3,000万円 13年間
中古の認定住宅等の購入、リフォーム 3,000万円 10年間
上記以外の中古住宅の購入、リフォーム 2,000万円 10年間

住宅の種類によって限度額と控除期間が異なります。

認定住宅

認定住宅等とは、「認定長期優良住宅」または「認定低炭素住宅」を指し、長期に住むことができる住宅で、CO2排出量が抑えられた住宅をいいます。

ZEH水準省エネ住宅

ZEH水準省エネ住宅は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、太陽光電池等で住宅が排出するCO2を相殺してゼロにする住宅をいいます。

省エネ基準適合住宅はZEH以外の住宅で、CO2排出量を抑えた住宅をいいます。

例えば、5,000万円の新築住宅を同金額借入金で購入した場合、その住宅が認定住宅等に該当すれば最高限度額の5,000万円まで住宅ローン減税を受けることができますが、認定住宅等や省エネ住宅等に該当しない一般住宅であれば限度額が3,000万円となり、差額の2,000万円の借入金が住宅ローン減税の対象となりません。

なお、中古住宅の購入は、新築や新築建売住宅購入に比べると限度額が下がります。

建売住宅

建売住宅購入は、建築から入居まで一度も使用されたことない住宅をいいます。ただ、中古住宅購入の中でも、買取再販住宅に該当すれば、限度額が新築・建売住宅購入の限度額と同じになります。

買取再販住宅

買取再販住宅とは、宅地建物取引業者が中古住宅をリフォームしたうえで購入者がその宅地建物取引業者から購入した住宅をいいます。中古住宅購入でも、この買取再販住宅で認定住宅等に該当すれば、限度額は最高限度額の5,000万円になります。

住宅の種類は上記のように分類されていますが、限度額が種類により大きく異なるため基準を満たしている住宅かどうかは建築会社、不動産会社によく確認したうえで購入した方がよいでしょう。

②住民税からの減税限度額

住宅ローン減税は、基本的に所得税から減税される制度です。

そのため、支払っている所得税の範囲内でしか減税されませんが、所得税から控除しきれないときは住民税から9.75万円(または前年分の所得税の課税所得金額等の5%の小さい金額の方、基本的に住民税の限度額は9.75万円と考えてOKですが、給与所得控除基礎控除等控除後の金額が195万円以下になるときには5%になることもあります。)を限度額として住民税から減税することもできます。

所得税は、最初の住宅ローン減税適用時は必ず確定申告が必要で、確定申告後他に税額に影響が与えるものがなければ減税額が還付、直接本人銀行口座に振り込まれます。

還付だけなら、1月4日ぐらいからe-TAXで申告可能です。

2年目以降は、会社員で確定申告義務のない方は、年末調整で手続き可能で、年末最後の給料とともに減税額が還付されます。

所得税から控除しきれなったときは、1年目なら所得税の申告、2年目なら年末調整していれば、翌年の6月以降の住民税支払い時から毎月減税額の1/12程度ずつ減税されていきます。

住宅ローン減税は、所得税からは限度なく控除することができますが、住民税には限度があることから、所得が低いほど不利になります。

これは、所得税は所得が低いほど税率が低くなり最低税率は5%ですが、住民税は一律10%であることから、所得が低いほど所得税よりも住民税の税額が大きくなるからです。

例えば、減税額が40万円あったとしても、所得税40万円支払っている人は全額控除できますが、所得税20万円住民税30万円支払っている人は、所得税から20万円住民税からは9.75万円しか控除できないため本来控除できるはずの10.25万円は減税されないことになります。控除額が控除しきれなくても、もちろん翌年に繰り越すことはできません。

③所得制限

住宅ローン減税を受けるには所得制限があり、合計所得金額2,000万円までとなっており、40~50㎡の住宅の場合のみ、合計所得金額が1,000万円以下の方が対象です。

合計所得金額とは、基礎控除、扶養控除等をする前の所得金額、会社員の場合で給与所得のみの場合には、給与所得控除後の金額になります。

2021年末までの住宅ローン減税制度では、所得制限が3,000万円だったところ大きく引き下げられました。なお、合計所得金額が限度額を超えているとずっと住宅ローン減税を受けられないわけではなく、控除期間13年(または10年)のうち限度額以下の年が1年でもあれば、住宅ローン減税を受けることができます。

最大限減税を受けるには?

最大限住宅ローン減税を受けるためには、早めの購入がカギです。この住宅ローン減税は年々限度額が減少傾向となります。

■2024年、2025年の住宅種類別限度額
住宅の種類 限度額 控除期間
認定住宅等の新築、建売住宅購入 4,500万円 13年間
ZEH水準省エネ住宅の新築、建売住宅購入 3,500万円 13年間
省エネ基準適合住宅の新築、建売住宅購入 3,000万円 13年間
上記以外の住宅の新築、建売住宅購入 2,000万円 13年間
中古の認定住宅等の購入、リフォーム 3000万円 10年間
上記以外の中古住宅の購入、リフォーム 2,000万円 10年間

2024年以降、新築、新築建売住宅購入、買取再販住宅購入時の限度額がそれぞれ500~1,000万円下がるため、年間1,000万円×0.7%=7万円の減税額を逃す可能性があります。

また、認定住宅等に該当する住宅を購入することで限度額を最大限にすることができます。

認定住宅等に該当すれば限度額は5,000万円、それに対して一般住宅なら3,000万円と2,000万円の差があり、年間2,000万円×0.7%=14万円の差があります。

一方で、住宅ローン減税額を最大限にするために大きく借りてしまうと、そのあとの返済に困ったり、教育費や老後資金を圧迫したりする可能性も出てくるでしょう。

例えば、借入金5,000万円を変動金利年0.5%のとき、ボーナス払いを20万円とすると、毎月9.6万円となります。

もし、金利が上がって0.9%となったとき、ボーナス払いを同じにすると月10.6万円となり、毎月1万円近く支払額が増える可能性があります。

ここ最近は都心部のマンション価格が高騰していたり、建築資材の高騰で住宅建築費も高騰していたりと、住宅購入にかかる費用が高くなってしまう傾向があります。

例え、銀行の審査が下りたとしても、人によって住宅以外にかかる必要資金は異なります。きちんと無理なく支払えるか、将来必要な資金を用意できるかどうかの見通しを立ててから借りましょう。

住宅ローン減税でこれだけ得する!

住宅ローン減税でどれだけ得するのか検証してみましょう。

①認定住宅等を購入した場合

年間減税額5,000万円×0.7%=35万円

13年間控除を受けられるため、最大35万円×13年間=455万円の減税を受けられます。

ただし、実際には年末のローン残高に対して減税されるため、借入額が5,000万円だったとき以下のようになります。

②認定住宅等を借入金額5,000万円(金利0.5%、35年)で購入した場合(12月末にローン実行、翌年支払開始)

1年目 35万円
2年目 34万円
3年目 33.1万円
4年目 32.2万円
5年目 31.2万円
6年目 30.3万円
7年目 29.4万円
8年目 28.4万円
9年目 27.5万円
10年目 26.5万円
11年目 25.5万円
12年目 24.6万円
13年目 23.6万円
合計 381.3万円

毎年年末のローン残高が5,000万円以上となる場合には、最大455万円受けられることになります。

住宅ローン減税の受け方

住宅ローン減税を受けるには、1年目に必ず確定申告をしましょう。

住宅ローン減税、ふるさと納税など還付を受けるだけの申告の場合、1月4日ぐらいに確定申告書コーナーが開設されたらe-TAXで2月15日以降の申告期間を待たずに申告可能です。

ふるさと納税で申告不要となるワンストップ特例制度を受けている場合でも、住宅ローン減税1年目で確定申告する場合は無効となります。1年目はワンストップ特例制度を利用することができないのです。

確定申告時、ふるさと納税についても、忘れずに申告をするようにしましょう。

ワンストップの場合すべて住民税からの控除となりますが、確定申告する場合、所得税からも控除されます(このとき、所得税が少なければ住宅ローン減税と干渉してふるさと納税を最大限受けられないリスクがあります。)。

1年目の申告時には以下の書類が主に必要になります。

1年目の確定申告で必要な書類

①「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
②金融機関から交付された年末借入金残高証明書
③登記事項証明書
④工事請負契約書または売買契約書
⑤土地に対する借入金に対しても控除を受ける場合、土地の登記事項証明書または売買契約書

このほか、補助金を受けた場合はその証明書、認定住宅等で申告するときはその証明書が必要になります。

2年目以降は、会社員で確定申告義務のない方は、年末調整にて還付を受けられます。

そのときに、金融機関から交付される借入残高証明書(マイナポータル連携での提出も可能)、税務署交付の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は1年目の申告後、翌年以降12年分を交付されていても、2023年分の1年目の申告時以降、電子的な方法での交付になる可能性があります。

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