住宅ローンの賢い選び方は?初心者が知りたいチェックポイントを徹底解説
住宅ローンと言っても各金融機関が提供しているため、どの商品を選べば良いのか迷ってしまう方も多いでしょう。ましてや住宅ローンを契約するのは人生で1回きりと思うこともあり、なおさら慎重になってしまうものです。
単純に金利の低い住宅ローンが良いという方もいれば、保障や手数料など細かくチェックして総合的に判断したいという方もいます。
では、結局のところどのようにして住宅ローンを選べば良いのでしょうか?
本記事では、住宅ローンの賢い選び方について解説します。
住宅ローンの知識がない方でもご自身で調べて比較できるように、チェックポイントについてお話していくので、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローンを選ぶのに重要なポイント5つ
住宅ローンを選ぶ際は、次の5つをチェックするようにしてください。
住宅ローン選びの5つのポイント
まず、住宅ローンと言っても銀行などの金融機関が提供している民間ローンと、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供するフラット35があるので、どちらか選ぶ必要があります。
次に金利タイプや返済方法にも2つずつ種類があり、異なる特徴を持っているので、違いをよく理解して自分に合う方を選ばなければなりません。
また、住宅ローンは返済が長いので、その間に病気やケガをする恐れがあります。
それに備えた保障があるので、それを付けるか否か決めて、付ける場合はどのような内容なのか確認するようにしてください。
他にも、手数料や諸費用などがあり、事務手数料などは住宅ローンによって異なるので、比較する必要があります。
では、これらのチェックポイントについて次の項目で詳しく解説していきます。
住宅ローンの選び方①:民間ローンorフラット35
1つ目のチェックポイントは、民間ローンorフラット35です。
民間ローンとは、都市銀行や地方銀行、信用金庫など民間金融機関が融資する住宅ローンので、「銀行ローン」とも呼ばれています。
それに対してフラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して融資します。
ちなみに、住宅金融支援機構とは国民生活の安定と社会福祉の増進を目的とした独立行政法人です。
そんなフラット35は、民間ローンでは審査通過が難しい個人事業主や転職して間もなく方など、幅広い方に対応しているとあって高い人気を誇っています。
ただし、金利は全期間固定金利しかありません。
一方で民間ローンは、「変動金利」「5年固定金利」「10年固定金利」「35年固定金利」など様々な金利タイプが用意されているので、フラット35より低い金利で借り入れが可能です。
民間ローンとフラット35の違いについては、以下の表を参考にしてみてください。
民間ローン | フラット35 | |
---|---|---|
審査 | 普通~厳しい | 柔軟な審査 |
勤続年数 | 1年~3年以上 | 勤続1か月以上 |
年収 | 200~400万円以上 | 規定なし |
過去の借入の遅延履歴 | 非常に重要視する | 民間ローンほど重要視しない |
選択可能な金利 | 変動金利 全期間固定金利 期間選択型固定金利 ミックス型 |
全期間固定金利 |
借入限度額 | 最大1億円~2億円 | 8,000万円 |
借入時の年齢制限 | 65~70歳未満 | 70歳未満 |
団信の加入 | 必須 | 任意 |
物件の技術基準の審査 | 原則なし | あり |
このことから、金利が少し高めでも固定となり、職業から柔軟な審査をしてくれるところが良いと考えるならフラット35、審査は厳し目であっても低金利で住宅ローンを組みたいというときは銀行の変動金利を選択するのがいいでしょう。
フラット35はどこの銀行でも利用できるということではなく、取り扱っている金融機関と取り扱っていない金融機関があります。
住宅金融支援機構で確認できるフラット35を取扱っている金融機関は下記の通りです。
住宅ローンの選び方②:金利タイプ
2つ目のチェックポイントは金利タイプです。
住宅ローンには、様々な金利タイプが用意されており、それぞれ異なる特徴があります。
金利タイプ | 概要 |
---|---|
変動金利 | 市場の金利動向に合わせて金利が変動する |
当初固定金利 | 一定期間の金利が固定される |
全期間固定金利 | 借り入れから完済まで金利が固定される |
全期間固定金利は、借り入れから完済まで一定の金利なので、毎月の返済額やトータルの利息額などが借り入れ当初から分かります。
返済の予定が立てやすく安心感があるので、フラット35ではどの金融機関の商品であっても全期間固定金利です。
それに対して変動金利とは、市場の金利動向に合わせて金利が変わっていくので、金利が下がれば利息が減り、金利が上がれば利息も増えます。
毎月の返済額に変動があるため、予定が立てにくいデメリットこそあるものの、変動金利の方が低めに設定されているため、同じ借入額・返済期間であっても変動金利の方が合計支払額は少なくて済みます。
実際、ここ数年は変動金利が低い値を推移しています。
金利の低さだけを重要視するなら、変動金利を選ぶ方が良いでしょう。
住宅ローンの選び方③:団信の有無
3つ目のチェックポイントは団信の有無です。
団信とは「団体信用生命保険」の略語で、住宅ローンの契約者に万が一の事態が起きた時、家族や家を守る役割を担っています。
もし、団信に加入せずに住宅ローンを組むと、契約者が病気や事故で働けなくなりローンの支払いが困難になった時に、残った住宅ローンの支払いが家族に引き継がれます。
しかし、団信に加入していれば残った住宅ローンの支払いが半分、またはゼロになり、家族への負担が減ります。
その一方で、団信に加入すると保険料は金利に組み込まれてしまいます。
つまり、団信に加入すると金利が上昇して返済額もかなり増えるデメリットがあるのです。
そんな一長一短のある団信には、大きく分けて次のような種類があります。
団信の種類
ワイド団信は、加入条件が一般団信より緩和されただけで保障内容は一般団信と同じです。
疾病団信は、主に「がん保障」「3大疾病保障」「8大疾病保障」「11疾病保障」「全疾病保障」などに分けられます。
万が一に備えるなら団信に加入した方が良いですが、金利が上がって支払額が増えるデメリットがあるので、よく考えて決める必要があります。
住宅ローンの選び方④:返済方法
4つ目のチェックポイントは返済方法です。
住宅ローンにおける返済方法は次の2つから選べます。
2つの返済方式 | 概要 |
---|---|
元利均等返済方式 | 元金と借り入れした金額に対して、発生する利息を合わせて均等に返済していく返済方法で、毎月の返済額が常に同じ金額になる。 |
元金均等返済方式 | 元金のみを均等に返済する返済方法で、毎月の返済額は住宅ローン残高が減ることで利息額も減る。 |
言葉で説明すると分かりにくいので、画像を使ってみていきましょう。
元利均等返済では、元金と利息を合わせて返済していくので、返済額は常に一定で、返済期間が進むにつれて元金の占める割合が増えていきます。
それに対して元金均等返済では、返済が進めば元金に対する利息が減っていくので、返済期間が進むにつれて毎月の支払額が少なくなっていきます。
ちなみに、一般的には元利均等返済を選ぶ方が多くなっています。
しかし、トータルの返済額は元金均等返済の方が少なくなるので、メリット・デメリットをよく読んで自分にあった方を選ぶようにしてください。
【元利均等返済方式のメリット・デメリット】 | |
---|---|
メリット | デメリット |
・返済額が一定で返済計画を立てやすい ・当初の返済額を抑えられる |
・借入残高の減りが遅い ・総返済額が元金均等返済より高い |
【元金均等返済方式のメリット・デメリット】 | |
---|---|
メリット | デメリット |
・総返済額が元利均等返済より安い ・将来負担する返済額が少なくて済む |
・返済当初の負担が大きい |
そのほか、元利均等返済は5年ルールと125%ルールが適用となりますが、元金均等返済方式では適用をならないという違いがあります。
住宅ローンの選び方⑤手数料・諸費用
5つ目のチェックポイントは手数料・諸費用です。
住宅ローンでは、申し込みから契約までに様々な諸費用がかかってきます。
では、どのような諸費用がかかるのか見ていきましょう。
諸費用の内訳 | 概要 |
---|---|
住宅ローン保証料 | 返済ができなくなった時、保証会社に住宅ローンを肩代わりしてもらうため保証料。 |
住宅ローン融資手数料 | 住宅ローンを利用するために金融機関に支払う手数料で、一般的な金融機関なら約3~5万円程度かかる。 |
印紙税 | 契約書類にかかる「印紙税」という税金で、1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円支払う。 |
団体信用生命保険料 | 住宅ローン返済中に万一があった場合に、保険金でローンの残債を支払うための保障。 |
火災保険料 | 住宅ローンを利用する場合、火災保険に必ず加入しなければならない。 |
不動産取得税 | 不動産を取得する際に支払う税金で、税率は原則不動産価格の4%。 |
登録免許税 | 購入した住宅の所有権を記録し、住宅を取得したことを公にするためには「登記」の手続きが必要で、その際に0.4~2%の税金がかかる。 |
固定資産税 | 固定資産に課税される地方税で、「固定資産税は固定資産税評価額×1.4%」で計算される。 |
登記代行手数料 | 司法書士等に登記を依頼する際にかかる費用で、相場は10万円程度。 |
仲介手数料 | 不動産仲介会社を通して中古住宅や中古マンションを購入する場合、契約が成立すると仲介手数料が発生する。200万円以下の部分は~5%、400万円以下の部分は~4%、400万円超の部分は~3%。 |
特に、事務手数料と保証料がいくらになるのか注意が必要です。
ちなみに、諸費用は中古物件で物件購入価格の6~10%、新築物件で購入価格の3~7%程度が一般的とされています。
例えば、新築3,000万円の物件であれば約150万円で、4,000万円の物件なら約200万円は必要という計算です。
新築住宅 | 中古住宅 | |
物件金額 | 4,000万円 | 4,000万円 |
借入金額 | 3,500万円 | 3,500万円 |
仲介手数料 | ― | 136万円 |
登記費用・登録免許税 | 80万円 | 80万円 |
住宅ローン抵当権設定登記 | 19万円 | 19万円 |
売買契約書 印紙代 | 3万円 | 3万円 |
固定資産税 | 10万円 | 10万円 |
住宅ローン事務手数料 | 5万円 | 5万円 |
火災保険料 | 40万円 | 40万円 |
不動産取得税 | 90万円 | 90万円 |
諸費用合計 | 247万円 | 383万円 |
このように仲介手数料がかかる中古住宅は、新築よりも諸費用が高くなります。
また、他にも引越し費用や家具・家電購入費などが諸費用に含まれてくるので、何にいくらかかるのか書き出しておくようにしておくと後で慌てずに済みます。
おすすめの住宅ローン3選
住宅ローンと一言で言っても、各金融機関が特色を出して提供しています。
それぞれ金利が異なるのはもちろん、その他の内容も異なるので、どれを選べば良いのか迷ってしまうでしょう。
そこで続いては、おすすめの住宅ローンを3つ紹介します。
SBI新生銀行
1つ目におすすめする住宅ローンはSBI新生銀行です。
事務手数料が安く、金利もネット銀行の中ではトップクラスに低いため、多くの人から高い支持を集めています。
また、「安心保証付団信」というパックが用意されていて、金利の上乗せなしで加入が可能です。
万が一の病気やケガは不安だけど、団信に加入して支払いが増えるのも嫌という方にはピッタリの住宅ローンとなっています。
金利 | 変動金利:年% 当初10年固定金利:年% |
---|---|
事務手数料 | 借入金額×2.2%(税込) |
保証料 | 無料 |
繰上げ返済手数料 | 【一部繰上げ】 インターネットバンキング:無料 【全額繰上げ】 詳細は銀行へお問合せください |
借入可能額 | 500万円以上3億円以下 |
返済期間 | 5~35年 |
来店 | 不要 |
対応地域 | 全国 |
auじぶん銀行
2つ目におすすめする住宅ローンはauじぶん銀行です。
auじぶん銀行では、住宅ローンと「au回線」「じぶんでんき」「J:COM NETまたはコミュファ光」「J:COM TV」を併用すると、金利が最大年0.15%引き下げとなる優遇が受けられます。
これにより業界トップクラスの低金利を実現しています。
また、審査スピードが早く、ネットで全ての手続きが完結するので、少しでも早く住宅ローンを組みたい方におすすめです。
金利 | 変動金利(住宅ローン金利優遇割適用):年% 当初10年固定金利:年% |
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事務手数料 | 借入金額×2.2%(税込) |
保証料 | 無料 |
繰上げ返済手数料 | 無料 |
借入可能額 | 500万円以上2億円以下 |
返済期間 | 1年以上35年以内(1ヶ月単位) |
来店 | 不要 |
対応地域 | 全国 |
PayPay銀行
3つ目におすすめする住宅ローンはPayPay銀行です。
数あるネット銀行の中でも、トップクラスに金利が低いので、少しでも利息を抑えたい方にはピッタリの住宅ローンでしょう。
また、団信の充実度も魅力の一つです。
一般団信の保障に加えて「がん50%保障団信」も無料で付いてきます。
おまけにペアローンとペア連生団信まであるので、自身の収入に不安がありパートナーとペアでローンを組みたい方におすすめの住宅ローンです。
金利 | 変動金利:年% 当初10年固定金利:年% |
---|---|
事務手数料 | 借入金額×2.2%(税込) |
保証料 | 無料 |
繰上げ返済手数料 | インターネット無料 |
借入可能額 | 500万円以上2億円以下 |
返済期間 | 2年以上35年以内(1ヶ月単位) |
来店 | 不要 |
対応地域 | 全国 |
まとめ
今回は、住宅ローンの賢い選び方について解説しました。
何も知らずに申し込もうとすると、金利の高さばかりに目がいき、その他のチェック項目を見落としてしまいます。
しかし、金利タイプや返済方法、団信の有無など、しっかりチェックしないと痛い目を見る恐れがある項目がたくさんあります。
全部を調べて総合的に判断するのは大変ですが、大きな買い物なので慎重すぎるくらいの方が良いでしょう。
自分だけで判断するのが難しい時は、銀行などの金融機関に相談してみてください。