ネット銀行と大手銀行の住宅ローンの違いについて解説
ネット銀行は直接相談できない代わりに金利が低い、大手銀行は直接相談できるけど金利が高いというイメージがありませんか。
その認識は概ね合っていますが、最近では大手銀行も金利が非常に低くなってきていたり、ネット銀行でも直接相談できる場所があったりとその認識は一部違うことがあります。
住宅ローンの選び方
ネット銀行と大手銀行の違いを比較しながら、住宅ローンの選び方についてみてみましょう。
まずは手数料についてです。銀行で借入する時には多額の手数料がかかります。
抵当権設定費用、印紙税はどの金融機関でも大きな違いはありません。
保証料はかからないところがほとんどですが、保証会社を通してローンの保証がされていると保証料が必要となるところもあります。係る場合は大きな金額となるため確認しましょう。
事務手数料は、借入金額に対して2.2%とするところがほとんどです。中には一律○円と設定する銀行もあり、その場合は借入金額が少ないときは2.2%の方がお得で、借入金額が大きいと一律の手数料金額の方がお得になることがあります。
以上より、手数料において大手銀行、ネット銀行でそんなに大きな違いはありませんが、手数料含めた返済総額を比べて検討しましょう。
もっとも住宅ローンで比較検討する一番の箇所は金利と言われています。
金利には、大きく分けて「変動金利」「全期間固定金利」「固定期間選択型」の3種類があり、現在新規利用者の73.9%が変動金利を選んでいます。
変動金利は、借りているときに借入金利が金利実勢により変動する金利タイプをいいます。
同時期で比べると最も低い金利タイプとなります。金利は変動するので、金利上昇すれば返済額が増えるリスクがあります。
固定金利はフラット35がもっとも低金利で借りることができます。フラット35は民間金融機関で申込みしますが、取扱いのない民間金融機関もあります。取扱いの民間金融機関で金利は少し異なっていますが、その他の手数料や内容は概ね同じとなります。
そして、住宅ローンは死亡または高度障害時に住宅ローン残高がゼロになる団信が付加されていますが、その内容は金融機関ごとに異なります。
したがって、住宅ローンを選ぶ際に重要なポイントは、「手数料を含めた返済総額」「金利」「保障」となります。
ネット銀行と大手銀行で大きな違いがなくなっている?
ネット銀行と大手銀行では、大きな違いがなくなっているというのが現状です。
大手銀行がネット銀行並みの金利
大手銀行でも金利が大幅に下がっておりネット銀行と変わらない水準まで下がってきています。
新規借入時変動金利(金利) | |
---|---|
新生銀行 | 年% |
auじぶん銀行 (住宅ローン金利優遇割適用なし/全期間引下げプラン) |
年%※4,5 |
イオン銀行 | 年%~ |
住信SBIネット銀行 | 年% |
三菱UFJ銀行 | 年%~ |
auじぶん銀行の金利・団信についての備考
※1 金利優遇について*本金利プランに住宅ローン金利優遇割を最大適用した金利です。
*J:COM NET優遇割、J:COM TV優遇割、コミュファ光優遇割は適用条件充足後、3ヶ月後から適用開始となります。
*審査の結果によっては、本金利プランをご利用いただけない場合がございます。
【金利引き下げ条件について】
*「auじぶん銀行の住宅ローン」と「au回線」と「じぶんでんき」および「J:COM NET」または「コミュファ光」と「J:COM TV」をセットでご利用いただくと、住宅ローン適用金利から最大年0.15%引下げます。
適用条件、説明書および追加情報の詳細は、auじぶん銀行ウェブサイトをご確認ください。
※2 固定金利について
*物件価格の80%以下でお借入れ、かつ50歳以下で一般団信をご選択の場合の固定特約金利です。
*新規で物件価格の80%超で住宅ローンをお借入れの場合は、表示金利から年0.045%引上げとなります。
*固定金利特約期間終了後に金利タイプの変更を行う場合は、金利の引下幅が変更となります。
*審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。
※3 団信について
*がん50%保障団信、がん100%保障団信、がん100%保障団信プレミアムは50歳以下のお客さまがご加入いただけます。
*審査の結果、保証会社をご利用いただく場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途お支払いいただく保証料はございません。
※4 50歳以下で一般団信をご選択の場合。
※5 物件価格の80%以下でお借入れの場合。
auじぶん銀行と住信SBIネット銀行はネット専業銀行ということもあり、非常に低金利で借りることができます。一方で、新生銀行と三菱UFJ銀行は大手銀行となるものの、ネット専業銀行と比べても遜色ない低金利となっています。
新生銀行はSBIグループに入ったことにより、2023年4月30日までの申し込みで大幅に金利を引き下げ、非常に低金利で借りることができます。
auじぶん銀行は、「au回線」「じぶんでんき」「J:COM NETまたはコミュファ光」「J:COM TV」の契約をセットで行うとさらに最大で年0.15%引き下げされます。
また、イオン銀行ではイオン銀行で住宅ローン契約すると、イオンでの買い物が毎日5%割引になります。毎日の買い物をイオングループで行っている方は、その割引分で金利以上にお得になります。
大手銀行の金利が低い住宅ローンの商品は、ネット専用商品となっているところが多いですが、ネット専用だとしても近くの店舗で相談しながら手続することが可能になっています。
ネット銀行は金利が低いけど直接相談できない?!
これまでネット銀行は、金利が低いが直接相談できないというイメージがあるかもしれません。
実際に、多くのネット銀行の住宅ローンでは実店舗がなく、契約はインターネットと郵送手続で行います。実店舗はないものの、電話では丁寧にきめ細やかに説明してもらうことができます。それでも、金額の大きい借入だから心配という方でもネット銀行でも直接相談できる場所を設けているところがあります。
例えば、住信SBIネット銀行ではネット専用の金利でありながら、対面で直接相談、手続することができます。
東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、大阪府、兵庫県にある店舗、または提携の首都圏、名古屋、大阪、福岡にあるSBIマネープラザ、ゼクシィ保険ショップ、島根銀行、福島銀行、仙台銀行、カシワバラ・アシスト、ファミリーライフサービスでも直接相談することが可能です。
また、楽天銀行ではZOOMまたはSkypeを利用したビデオ電話での相談を行うことができ、年末年始以外の22時まで相談できるので、好きな時間、好きな場所で相談することができるもの良いところでしょう。
フラット35を専門に扱うARUHIでも、全国に店舗があり直接相談することも可能です。そのほか、平日限定ではあるもののビデオチャットでも相談することができます。
ネット銀行と大手銀行比較 | ||
---|---|---|
ネット銀行 | 大手銀行 | |
変動金利 | 低い | ネット銀行より高い |
融資手数料 | 2.2%程度 一律○円というところもある。 |
|
保証料 | かからないところがほとんどだが、保証会社を通している場合は必要。 | |
印紙税 | 2万円程度 | |
抵当権設定費用 | 15~20万円程度 | |
団信 | 別途費用必要なし | |
店舗 | ない(都心部中心にあるところもある) | ある(地方都市にもある) |
直接相談 | 電話相談が基本(一部店舗やビデオ電話で相談可能) | ネット専用でも直接店舗で相談可能 |
ブランド力 | △ | ◎ |
このように、ネット銀行と大手銀行で大きな違いはなくなってきています。ネット銀行の方が若干金利は低いものの、大手銀行でも遜色ない金利となっています。
では、実際に借りるとどのような違いはあるのでしょうか。
実際のところネット銀行と大手銀行の違いは?メリットデメリット
ネット銀行のメリット・デメリット
とにかく金利が非常に低いことがメリットで、デメリットはやはり直接相談できないなどの契約への不安感でしょう。
メリット
デメリット
ネット銀行は金利が低く、無料で全疾病保障が付加されているのがメリットです。通常の団信は死亡時または高度障害時に住宅ローンがゼロになる保障で、加入が義務付けられていることから(フラット35を除く)既に金利に含まれており、別途費用を支払う必要はありませんが、死亡時または高度障害時のみの保障で、それ以外に住宅ローンの返済に窮しても保障されません。
全疾病保障は、死亡時または高度障害時以外でも、就業不能状態が続いている期間はその月の返済分、さらに1年以上続けば住宅ローン残高全額が保障され、働けなくなったときのことを考えると安心です。
一方、ネット銀行だと老舗銀行と比べと名前が知られていないためブランド力に欠けるため、その銀行から借りるのは不安という漠然とした不安感があるというのは事実です。
そして実際には、ローンの返済は長期にわたるため給与をネット銀行指定にできない会社だと、毎回振込または資金を入れておかなければならないところが煩雑です。
もともとメイン銀行でない場合には会社が給与振込指定できたとしても、メイン銀行に指定していた引落しなどの取引をネット銀行に移すなどの煩雑な手続も必要になってしまうでしょう。
契約手続はネット、メール、書類を郵送で行われるため、一々電話で確認したり、間違えたらやり直しになってしまったりします。
大手銀行のメリット・デメリット
大手銀行ならば就職ランキングで上位に入るように、圧倒的なブランド力があるというのが大きなメリットでしょう。住宅ローンは30年のような長期で借りることになるので長い期間付き合うには、大手銀行は安心です。
また、心理的な面だけでなく、もともとメイン銀行にしている、店舗が近くにあるということから、いつでも相談できるという安心感もあります。
メリット
デメリット
大手銀行でも非常に低い金利で借りられるようになりましたが、それでもやはりネット銀行と比べると少し金利が高くなってしまいます。
たとえば新規借り入れの変動金利で、auじぶん銀行では年%※4,5(住宅ローン金利優遇割適用なし/全期間引下げプラン)で、さらに指定の契約などをすると金利が引き下げになります。
三菱UFJ銀行では年%~(団信)となり、団信は死亡又は高度障害時のみの保障となります。
例えば、3,000万円を30年で借入したとすると(元利均等返済)、金利が年0.389%の場合の返済総額は31,797,848円、年0.475%の場合の総返済額は32,193,987円と全期間で約40万円返済額が多くなります。その上、三菱UFJ銀行では死亡又は高度障害時のみの保障となります。
ただ一方で、手数料なしで付加されるネット銀行の全疾病保障は住宅ローンがゼロになる条件が非常に厳しくなっています。
全疾病対象になるものの入院などで就業できない状態が1年以上続く必要があるので、中々死亡・重度障害以外で住宅ローンがゼロになる可能性が低くなります。
今はがんでも入院ではなく通院で治療する場合が多く、がんとなっても実際に就業不能状態にならないこともあります。それに対して、大手銀行で付加できる保険は保障が充実しているのがメリットです。
がんや脳卒中などの指定の病気に診断または入院した時点で住宅ローン残高がゼロになる保障を付加することができる代わりに金利が上乗せになりますが、その分住宅ローン残高がゼロになる範囲は広くなります。
ネット銀行でも保障を付加できますが、大手銀行の方が手厚い保障内容の保険を付加することができます。
auじぶん銀行の金利・団信についての備考
※1 金利優遇について*本金利プランに住宅ローン金利優遇割を最大適用した金利です。
*J:COM NET優遇割、J:COM TV優遇割、コミュファ光優遇割は適用条件充足後、3ヶ月後から適用開始となります。
*審査の結果によっては、本金利プランをご利用いただけない場合がございます。
【金利引き下げ条件について】
*「auじぶん銀行の住宅ローン」と「au回線」と「じぶんでんき」および「J:COM NET」または「コミュファ光」と「J:COM TV」をセットでご利用いただくと、住宅ローン適用金利から最大年0.15%引下げます。
適用条件、説明書および追加情報の詳細は、auじぶん銀行ウェブサイトをご確認ください。
※2 固定金利について
*物件価格の80%以下でお借入れ、かつ50歳以下で一般団信をご選択の場合の固定特約金利です。
*新規で物件価格の80%超で住宅ローンをお借入れの場合は、表示金利から年0.045%引上げとなります。
*固定金利特約期間終了後に金利タイプの変更を行う場合は、金利の引下幅が変更となります。
*審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。
※3 団信について
*がん50%保障団信、がん100%保障団信、がん100%保障団信プレミアムは50歳以下のお客さまがご加入いただけます。
*審査の結果、保証会社をご利用いただく場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途お支払いいただく保証料はございません。
※4 50歳以下で一般団信をご選択の場合。
※5 物件価格の80%以下でお借入れの場合。
ネット銀行と大手銀行でそれぞれ向いている人、向いていない人
上記ネット銀行と大手銀行のそれぞれの特徴を見た上で、それぞれ向いている人向いていない人を解説します。
ネット銀行に向いている人
ネット銀行に向いていない人
大手銀行に向いている人
大手銀行に向いていない人
まとめ
住宅ローンを新規で借入れるときには、不動産会社の提携金融機関を紹介されることがほとんどです。住宅ローンは借りる際に多額の事務手数料がかかるため一度借りたら簡単には借り換えできません。
そのため、提携住宅ローンだけでなく他の金融機関も含めて比較検討することがおすすめです。
低金利というとネット銀行というイメージかもしれませんが、大手銀行においてネット専用住宅ローンを称して非常に低金利の住宅ローン商品があります。
したがって、固定観念縛られずまずは提携住宅ローン、ネット銀行、大手銀行含め広い範囲で検討し、最終的には2~3行に絞って実際に手数料を含めた返済総額で比較しましょう。
住宅ローン利用者の実態調査:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫) (jhf.go.jp)