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意外に知らない本審査の前後で気を付けておくべき3つのこと

住宅ローンの本審査が通過し、晴れて融資実行されるのを待つだけだと思って、本来審査に通らなくなってしまうようなNG行動をしてしまうとせっかくの融資が実行前に取り消されてしまう恐れがあります。

ここでは、そんな審査前後で気をつけておくべきポイントを伝えて行きます。

住宅ローンの審査基準

住宅ローンは、住宅やその住宅建築のための土地を購入するために金融機関から資金を借りることです。

個人で借りる金額としては、住宅借入金が人生で最も金額が大きいとも言われるため、ローンを組む方が多くいます。

また、国民が安定した生活を送るための重要な住居であるという点でも金融機関における住宅ローンとしては最も金利が低く、国からもいわゆる住宅ローン減税という借入金の0.7%が減税されるという個人が住居を持つための施策が行われています。

しかしながら、住宅ローンは返済が長期にわたり返済されなければ貸倒れとなり、金融機関の損失となってしまうため、そうならないよう金融機関は融資実行前の審査を行っています。

その審査は2段階となっており、住宅ローン申込み後に事前審査と本審査の2つをクリアしなければなりません。

事前審査では契約者の返済能力や担保物件について審査し、本審査では建築物件であればこの時点でやっと建物の詳細な内容が分かってくるので担保の評価を改めて行い、返済能力については事前審査を変わりないかを審査します。

事前審査、本審査では以下の点で基準を達しているか審査します。

以下、審査において重視する金融機関が多い割合順に紹介します。

引用:国土交通省 住宅局 令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

①完済時年齢(98.9%)

規定に完済時に80歳未満となっているかどうか明記している金融機関が多いです。

②健康状態(98.5%)

団信とは団体信用保険の略で、返済義務者が死亡・重度障害になったときに返済免除となる保険で、団信の加入を条件とする金融機関がほとんどです。

団信に加入するには、過去3年以内に三大疾病等にかかる病歴がないか告知書に記入し、告知状況によっては加入できません。

したがって、団信に加入できれば健康状態も問題ないことになります。

持病がある場合などは金利を上乗せすることで団信に加入できる場合や団信の加入が不要なフラット35を借りるという選択肢があります。

③担保評価(97.6%)

金融機関は契約者から返済がされなかったときに、融資実行とともに抵当権の対象となる建物と土地を売却することで資金の回収をはかります。

そのために、売却すれば資金を回収できるかどうかを判断するために、対象の土地、建物の評価を行います。

④借入時年齢(97.1%)

規定で借入時の年齢が70歳未満で同時に完済時に80歳未満となるように明記されており金融機関がほとんどです。

⑤年収(95%)

多くの金融機関が年収150万円以上あることとしていますが、借入希望額と毎月の返済額によって求められる年収が異なります。

⑥返済負担率94.6%

返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合をいいます。多くの金融機関が35~45%としています。

年収が400万円なら年間140~180万円までの返済額となっているか確認しているということになります。

⑦勤続年数(94.5%)

3年以上としている金融機関が多くなっており、転職を繰り返していると印象が悪くなります。

⑧連帯保証(94.5%)

本人の収入に対して借入金額が高くても、働いている配偶者、または働いている子を連帯保証人とすることで借りることができます。

⑨融資可能額(融資率)(75.8%)

融資可能額(融資率)とは、購入物件に対する借入額の割合を示します。

多くの金融機関が100%以内としていますが、中には80%以内とする金融機関もあります。

購入または建築する土地・建物の費用が4,000万円かかるとすれば、融資率80%の場合借入金3,200万円と自己資金は1,200万円で購入する必要があり、100%以内なら4,000万円の借入が可能ということになります。

この融資率は返済能力と合わせて比較検討されます。

⑩雇用形態(75.6%)

契約社員や派遣社員は、申し込みの対象外とするところもあります。

⑪カードローン等の他の債務の状況や返済履歴(64.2%)

カードローン等のローン、クレジットカード申込状況、携帯端末割賦払い、返済状況等の信用情報は第三者信用情報機関により最大5年間保存されています。

金融機関はこの信用状況を問い合わせることができるので、返済遅延や多重債務となっていれば審査が通らないことがあります。

本審査通過後に融資取消しはある?

本審査通過後は、融資実行を待つだけとなります。融資実行とは、金融機関から不動産メーカーに住宅購入資金が直接支払われ、ローンの返済も始まることをいいます。

融資が実行されれば不動産も引渡しができるので、メーカーから鍵の引渡しが行われます。

事前審査、本審査の2段階審査を経てから融資実行となるため、基本的には融資が取消しとなることはありません。

しかしながら、返済能力に大きな影響を与えるような事情が生じれば取り消される可能性もあります。

返済能力の点でいえば、特に上記の審査の基準の⑤年収、⑨返済負担率、⑩雇用形態、⑪融資可能額です。

この基準に問題が生じる可能性があるのは、転職、退職、勤務先の倒産、新たな借入れなどです。

転職、退職、勤務先の倒産

審査基準で重要な基準となっている⑤年収、⑨返済負担率、⑩雇用形態に大きな変化をもたらします。

返済負担率は年収をもとに算定されているため、その基準となる年収が下がれば返済負担率が上がってしまい、金融機関が上限とする45%を超えてしまうと融資の取消しの可能性があります。

例えば、年収400万円で年間120万円(月額10万円)の返済では返済負担率30%だった予定が、転職で年収200万円となり、年間120万円の返済では返済負担率60%となってしまったとき、返済能力があるとはいえず、融資の取消しとなる可能性があります。

融資実行直前に勤務先に在籍確認をすることで、融資に問題がないか確認する可能性があります。

新たな借入れ

住宅購入に伴い車や家具などの購入が必要な場合があります。

返済負担率は住宅ローンだけでなく住宅ローンを含めた借入の年間返済額の負担率が問題となります。

車の購入のために新たに借入を行うこと自体取消しとなるまでの問題とはなりませんが、返済負担率が大幅に超えてしまうようなこととなれば融資取消しとなる可能性があります。

例えば、年収400万円、住宅ローンの年間返済額120万円、返済負担率30%で、車の購入のため300万円の自動車ローンを期間5年で借入れ年間返済額は33万円(月額約27,000円)だった場合、合せて年間返済額は153万円で返済負担率は38%と取消しとなるまでの問題とはならないでしょう。

しかし、これが、600万円のローンで期間5年間年間返済額66万円(月額約55,000円)となれば、合せて年間返済額が186万円で返済負担率は46%となるため取消しとなる可能性が出てきてしまいます。

破産、故意または重大な過失による犯罪

極端ではありますが、破産、故意または重大な過失による犯罪の場合、住宅ローンが返済されない可能性があるため融資は取消しになる可能性は大です。

上記のような事情があれば本審査通過後でも融資の取消しとなる可能性があります。

本審査の基準において⑪カードローン等の他の債務の状況や返済履歴は、他の基準と比べてそれほど審査に影響しません。

多重債務を抱えて破産する可能性がある場合は別ですが、カードの割賦払い、携帯端末の分割払い、カードローンなどを合わせた住宅ローンの年間返済額が返済負担率の30~45%以内に収まっていればそれほど問題視されることはないでしょう。

カードローンの金利はそもそも高く、さらに返済できないときには延滞金が発生します。

その利率は20%前後と非常に高く、返済できないと雪だるま式に返済額が増えてしまうため、できるだけ早めに返済を終えましょう。

いずれにせよ、住宅購入時は最初に家具購入、不動産取得税、住宅ローンの返済開始などの入り用が多くなりやすいので、無理な買物は禁物です。

本審査通過後から融資実行前に大きな借入れを増やすのは避けた方が良く、転職についても、住宅ローンの支払が開始された後生活基盤が安定してから考えるのが良いでしょう。

本審査通過後の融資取消し、違約金は?

融資の取消しが行われると、すでに本審査通過後において不動産にかかる売買契約はどうなるでしょうか。

これには、ローン特約が付加されているかどうかで変わります。

ローン特約とは、本来不動産を購入するときには金額が大きく、大部分が自己資金ではなく借入による購入となります。

この借入資金がなければ不動産の購入はできないことになるため、ローン特約が付加されていると「融資が下りないときは不動産売買契約を解除することができる。」という契約となります。

ただ、この特約により売買契約を解除するにはローンの申込み手続を誠実に行っていたかが問われます。

例えば、わざと大きな借入金額にして売買契約を解除するなどがあり得るからです。

ローン特約が付加されていても誠実な手続きではないなど要件を満たさないときやローン特約自体ない場合には、売買契約解除にかかる違約金がかかります。

違約金は売買契約時に支払った手付金を放棄する形となります。

手付金は不動産会社が売主の場合、売買代金の5~20%の間となり、契約額が4,000万円の場合200~800万円となります。

自己資金がなく売主が承知すれば0~10万円でも良いこともありますが、手付金を手放すことになるのは避けたいものです。

融資実行後の転職や収入減少は?

融資実行後は既に資金が不動産会社に払い込まれ、不動産の引き渡しも済んでいるため、転職や収入減少があっても融資が取消しになることはありません。

融資実行前は、金融機関は契約者が本当に長期間きちんと返済できるかを審査するわけですが、審査が通らなかったとしても無理な借入、無理な金額での借入れをしないことで契約者自身を守ることになります。

実際に返済していくのは契約者であり、返済できないときにペナルティを負うのも契約者です。

住宅ローンの返済ができなくなると、まず金融機関と相談して月額の返済額を減額してもらう、延長してもらうなど相談することができます。

ただ、それでも返済できないときは、住宅・土地の売却で返済資金を確保し、家を失うことになります。

また自己破産となれば、99万円超の現金、時価20万円以上の財産や不動産などの処分が行われ、新しいローンやクレジットカードを10年程度作れなくなり、ある一定の職業は職を失います。

融資実行後に転職、退職、新規の借入を行っても取消しされることはありませんが、住宅ローンの返済は家計にとって大きな割合を占めるものであるため、今後もきちんと返済できるめどがあるかどうか計画を立てて行うことをおすすめします。

本審査前後での転職等には注意

せっかく本審査が通った後の融資実行前に、その基準が変わってしまうような新たな借入れや転職、退職など収入が減るような行為はやめた方がよいでしょう。

本審査が通った後でも融資実行前なら、融資が取り消される可能性は十分あり、取り消されてしまったら、新たに他の金融機関へ融資申込み、はたまた不動産売買契約を取り消さなければいけない事態となり、最悪違約金(手付金の放棄)を求められる可能性もあります。

融資実行前の審査基準のもととなる条件の変更となる行為を行うことには、注意しましょう。

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