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返済額が少ない住宅ローンがある!? 残価設定型の住宅ローンとは?

住宅ローンの基本

住宅ローンは、現金で購入するには大きい購入金額となる住宅をローンで購入することです。

個人としては人生で一番大きい買物となることが多く、そのローンの返済期間は平均30年程度と長期にわたります。

住宅ローンは借りるときに審査と担保設定がある

住宅ローンは長期にわたる返済であることから、銀行は借り手に返済能力があるかどうか慎重に審査します。

その審査は仮審査と本審査と二段階あり、源泉徴収票等の収入を証明する書類で返済を長期で続けられる安定した収入があるかどうか、完済時の年齢や健康状態などで返済できる状態であるか、返済額が年収に対して無理のない金額かどうかを審査します。

さらに、その審査で住宅ローンの対象となる物件の評価を行います。

銀行は住宅ローンが返済されなかったときに備えて、住宅ローンの対象となる土地建物に『抵当権』を設定します。

借入金が返済されなかったときその借り手の財産は売却されその売却代金は貸し手の借入金が充当されますが、抵当権を設定された資産はその抵当権を設定している貸し手に優先的に売却代金が支払われます。

このように、銀行は住宅ローンの返済は行われなかったときは、抵当権を設定した対象物件の処分によって資金の回収を図るわけです。

住宅ローンの金利種類

住宅ローンは借りている期間、残高に対して金利を乗じた分の利息を支払います。

住宅ローンの金利には、大きくわけて3種類あります。

同時期で比べると、金利水準は①変動金利<②固定期間選択型<③全期間固定金利となります。

①変動金利

変動金利は、同時期で比べると一番低い金利水準となります。

現在住宅ローン利用者の7割超がこの金利タイプで借りています。

メリットはやはり金利が非常に低いことで、ネット専業銀行等では年利0.3~0.5%程度で借りることが可能になっています。

一方で、借りているときに借入金利が金利実勢により変動します。6ヶ月ごとに、適用されている金利が変動して、返済金額が5年ごとの見直しされます。

その間返済金額は元金と利息の割合で調整されるため毎月の返済額は5年間変わりませんが、5年ごとの返済額見直しでその間に金利が上がっていれば毎月の返済額が増えることがあります。

②固定期間選択型

最初に選んだ期間のみ固定金利となる金利タイプです。

ただ、固定金利期間が過ぎると、その期間終了時の金利が適用されます。

③全期間固定金利

固定金利は、金利が一定で返済額がずっと変わらない金利タイプです。

金利が固定され今の低金利の水準で固定され、金利実勢が上昇しても変動する心配がありません。

しかしながら、3つの金利タイプの中で同時期では一番金利が高くなり、今だと1%割れで借りられる変動金利の方が人気となっています。

35年のように長期間の固定金利は、住宅金融支援機構のフラット35が低金利で借りられ、金利は35年で1.88%前後となります。

<金利タイプ別金利水準>

変動金利 0.3~05%
固定期間選択型 0.8~1%
フラット35 1.88%前後

住宅ローンの金利は低い!

現在日銀によるマイナス金利政策と量的緩和の金融政策により、預貯金の金利が非常に低くなっていると同時に、借りるときの金利も非常に低金利となっています。

その中でも得に住宅ローンは非常に低金利です。

例えば、カードローンの金利は4~18%、車のローン2~4%、不動産投資ローン(アパートローン)1.5~4%(変動金利のみ)と高い金利が適用されるのに対して、住宅ローンは変動金利で0.5%割れ、35年と長い固定金利でも1.88%と非常に低い金利で借りることはできます。

これはなぜかというと、以下のような理由は考えられます。

1.担保がある

住宅ローンは土地建物に抵当権を設定しており担保があります。

その担保としての価値評価も詳細に行っているため、返済されなくても最悪担保を処分すれば資金を回収することはできます。

また、借り手が住んでいる住居は借り手にとって処分されては困りますから、借りては住宅ローンの返済を優先的に行ってくれるはずです。

2.不良債権化の実績が少ない

2007年頃からアメリカで顕在化したサブプライムローン問題のように、日本では住宅ローンが不良債権化(返済されない状態)となることが少ないのが現状です。

サブプライムローンとは、返済能力が低い人でも最初低い金利で借りることができ、その後高い金利となりローンでした。

住宅価格が当初上がっていたので、最悪金利が上がって返済できなくてもその住宅を担保に借換えまたは売却することでなんとかしていましたが、住宅価格の下落によりそれができなくなり、不良債権が増えたという問題です。

日本では、住宅ローンをきちんと返す人が多く、また無理な借入れも行わない人が多いことから、住宅ローンは不良債権化する可能性が低いことから、銀行は低金利で貸すことができるのです。

3.費用対効果が高い

住宅ローンの金利を非常に低い金利で貸すということは銀行にとっては利益を少なくしてしまう行為になります。

しかしながら、住宅ローンを借りることにより、必ず毎月給与などの収入がローン返済口座に振り込まれることになり、ローンがある口座はメイン銀行として使われる可能性が高くなります。

特に、ネット銀行ではメイン銀行とする人が少ないことから、住宅ローンの返済口座にしてもらうことで、メイン口座となり、さらに他の資産運用や振込など銀行に手数料収入が入るような取引につながりやすくなります。

このような理由から、住宅ローンは非常に低金利となっていると言えるでしょう。

しかし、低金利の住宅ローンは個人が主に居住するための目的として使われる住宅に対する借入であるため、実際に住むのかどうかについては他の不動産ローンと比べて厳しくなっています。

残価設定型住宅ローンとは?

残価設定型住宅ローンとは、車で現在よく使われている残価設定型ローンと同じ仕組みのローンです。

国土交通省が官民共同で、残価設定型の住宅ローンの開発に着手し、2019年に旭化成ホームズが新生銀行(現SBI新生銀行)と共同で取扱いを始め、旭化成のヘーベルハウスを対象に始まりました。

残価設定とは、最初の契約時に住宅価格の○%を残価として設定します。

例えば、住宅価格が3,000万円だとして、残価設定が20年後20%とすると600万円の残価設定となります。

この残価以外の部分2,400万円(3,000万円-600万円)の元金を20年間返済していきます。

3,000万円の通常の住宅ローンで金利0.44%なら20年で返済するとなると(ボーナス払いなし)毎月14万円弱の返済となりますが、残価設定型ローンだと毎月11万円弱の返済と3万円ほど毎月の返済額が少なく済みます。

<同じ20年で比較>(住宅価格3,000万円金利0.44%の場合)

残価設定型ローン 通常住宅ローン
毎月返済額 約108,000円 約135,000円
支払利息 1,596,131円 1,335,164円
所有権 不動産会社 自分
管理費用など 自己負担 自己負担
20年後 600万円一括返済か住宅を返却 -

通常の住宅ローンは20年後晴れて完済となるのですが、20年後の残価設定の場合残価部分の600万円を一括返済するか住宅を不動産会社の返却することになります。

返却時には再度評価し、600万円より評価が下がっている場合はその差額を支払う必要があります。

残価設定では、住宅を返却すれば当初3,000万円の購入価額だった住宅に実質2,400万円で住むことができます。

返却することで残り600万円を返済する必要がなくなるからです。

その代わり住み続けたい場合には残りの600万円を一括返済するか、一括返済できない場合は再度ローンを組むことになります。

なお、残価部分の600万円は20年後まで返済する必要はありませんが、その600万円に対する支払利息は支払う必要があるため、同じ期間同じ金額借りるのと比較すると、残高が減らない分支払利息は余計にかかり、上記例だと20年間で約22万円余分に支払うことになります。

一方で、同じ毎月10万円ぐらいの負担で比べると、3,000万円を返済するには余分に7万円かかり、支払利息は残価設定ローンとそんなに大きな差はありません。

<毎月同じ金額の返済金額で比較>(住宅価格3,000万円金利0.44%の場合)

残価設定型ローン 通常住宅ローン(25年)
毎月返済額 約108,000円 約110,000円
支払利息 1,596,131円 1,665,164円
所有権 不動産会社 自分
管理費用など 自己負担 自己負担
20年後 600万円一括返済か住宅を返却 -

SBI新生銀行の新生パワーセレクト

現在残価設定型住宅ローンを取り扱っているのは、新生銀行が旭化成ホームズとの提携により開発した「新生パワーセレクト」のみです。

旭化成のヘーベルハウスが対象です。

新生パワーセレクトの特徴

①東京・神奈川県の一部エリア限定

②旭化成ホームズの「ヘーベルハウス」の建築資金とその建築のための土地購入資金が対象

③15年以上35年以内(完済時80歳まで)、1,000万円以上1億円以下の借入金

④残価の部分は返済を据置、残りの部分を返済できるので毎月の返済負担を軽減できる

残価27%の場合、5,000万円のローンのうち1,350万円の残価は据え置き、残り3,650万円の返済で住むため、毎月の返済額は5,000万円のローンなら金利0.44%で毎月20万円程度の返済が必要なところ、残価で3,650万円部分のみの返済なら毎月15万円程度で住みます。

⑤最終回は「住宅売却による完済」「残価の一括返済」「残価の分割返済」「リバースモーゲージへの借換え」の4つの方法から選択

住宅売却による返済の場合は、旭化成不動産レジデンスが買取りを保証しているため、売却できずに返済できないという心配はありません。

現在、上記ヘーベルハウスのみ対象となるSBI新生パワーセレクトのみの取扱いとなり、まだ残価設定型住宅ローンは普及していません。

それは、次のような課題があるからだと考えられます。

住宅の残価設定型には課題が多い

現在自動車における残価設定型ローンはかなりの普及率となっています。

車種によっては半数を超える人が残価設定型ローンを選ぶ種類もあります。

その理由は、残価設定率が高いからです。

人気車種となると残価設定率が50%を超えます。

例えば、500万円の車で残価設定率60%の車なら、残価は300万円となり残り200万円だけを支払えばよいことになります。

これを住宅に当てはめると、先ほどのヘーベルハウスの例では残価27%でしたがこれが50%であったなら、残価は2,500万円となり残り2,500万円の返済をすればよくなるため、毎月11万円程度の返済となり通常の住宅ローンで借りるときの毎月の返済額20万円に比べて半額の負担で済みます。

しかし、住宅にはこのような高い残価設定率は不可能です。

住宅の残価設定は車が3~5年の期間に対して、20~35年と長期間となります。

長い期間経過後の残価を高く設定することは難しく、日本の中古住宅市場では長い期間経過すると大きく価格が下落するため高い残価率は設定しづらいのです。

また、車は期間終了時一括返済して売却、さらに新しい車を同じディーラーで購入した場合はその差額だけを支払えばよく、さらに車の価格もそこまで落ちていないので高く売れ、次の車を安く買うこともできます。

住宅の場合は車のローンに比べて非常に低い金利で借りることが可能であるため、一括返済するのであれば長期間で借りて途中で繰上げ返済する方がお得になります。

また、買い換え時に残価設定した住宅が高く売れてその差額分次の購入物件を安く買うことができるというわけにはいきません。

住宅
残価 低い 高い車種がある
買い換え時 残価部分のローンが免除されるのみ 車が高く売れれば次の車を安く買える。差額の支払で済む
金利 低いから、返済額が普通に借りるのと大きな差がない 高い 普通に借りるよりも返済の負担が軽くなる
種類 ヘーベルハウスのみ 豊富

残価設定型ローンはこんな人は向いている

上記のような、車の残価設定型ローンとの違いからまだ普及しているとは言いがたい住宅の残価設定型ローンですが、以下のような人には向いているとも言えます。

・老後はマンションなどへの住み替えを希望している。

・毎月の返済負担を減らしたい。

・老後資金にゆとりがなさそうであるため、リバースモーゲージを利用予定

まだまだ新商品が2019年に出たばかりで普及には遠いですが、国土交通省が積極的に推進しており、価値の高いマンションが対象となったり、残価設定率が高くなったりすればもっと普及するかもしれません。

そうすれば、ライフスタイルに合わせて5~10年の短い期間での住み替えも可能になり、また高い購入価格の都心部のマンションも返済額の負担を軽くして購入することもできる時代がくるでしょう。

利用を考えているときはライフプランをよく練ってからにするのが良く、気になるときは話を聞いておくだけでも良いでしょう。

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