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不動産投資ローンとは?審査の厳しさやメリット・デメリットを解説

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、投資のために不動産を購入するときに利用するローンをいいます。

購入する不動産は、自分で住むためのものではなく、他人に貸出し、その間の賃貸収入を得ることで運用します。

ローンで購入した場合は、当初は賃貸収入で毎月の返済をし、将来返済が完了した後賃貸収入を得るか、または売却することで利益を得ることになります。

不動産投資目的で購入する物件は、居住用とオフィス、ホテルなどがありますが、居住用は利回りが低くなるものの価格が下落しにくくリスクは低くなります。

それに対して、オフィスやホテルなどは利回りが居住用に対して高くなりますが、空室リスクや不動産価格下落リスクは大きくなります。

また、同じ使用用途でも空室リスクが起きづらい東京のような都心部の購入価格は高くなり利回りは低くなるものの空室リスクが低く、地方都市や地方になると購入価格が安くなり利回りは高くなるものの空室リスクは高くなります。

手元資金がなくても賃貸収入を得られる

不動産投資ローンは手元資金がなくても、借りることで、現金では通常購入することのない不動産を購入して資産を持つことができ、家賃収入を得ることができます。

マンションは一棟買いではなく、一室から所有する区分所有も可能となっているため、様々な都市にマンションを保有することもできます。

返済は家賃収入で賄えるため、返済に手元資金が不要で、不動産価格は経年劣化で価格は下がるものの都心部であればそこまで下がりにくい特徴があるので、家賃収入を入れれば売却時に利益を得ることができるでしょう。

<ローンで不動産投資をした場合の収益(表面利回り4%)>
家賃収入 ローン返済
(元金+支払利息)
手取り ローン残高
1,500万円2%30年
不動産価格
1年目 60万円 68万円 ▲8万円 1,463万円 1,500万円
2年目 60万円 67万円 ▲7万円 1,425万円 1,500万円
3年目 50万円 67万円 ▲17万円 1,387万円 1,500万円
4年目 60万円 67万円 ▲7万円 1,348万円 1,500万円
5年目 50万円 67万円 ▲17万円 1,308万円 1,500万円
6年目 60万円 67万円 ▲7万円 1,267万円 1,500万円
7年目 60万円 67万円 ▲7万円 1,229万円 1,500万円
8年目 50万円 67万円 ▲17万円 1,183万円 1,500万円
9年目 60万円 67万円 ▲7万円 1,140万円 1,500万円
10年目 56万円 67万円 ▲11万円 1,095万円 1,400万円
合計 566万円 671万円 ▲105万円 売却すると+200万円
(売却価格1,400万円-105万円-1095万円=200万円)

生命保険の代わりになる

ローンを返済中は団体信用保険に加入します。

団体信用保険いわゆる団信は、返済中に死亡または高度障害になったときに、ローン残高がゼロになる保険です。

団信の保険料は既に金利に含まれているため、別途保険料を支払う必要はありません。

ローン返済者に万が一のことが起きたときにローン残高はゼロとなり、その後ローンの返済することはなく毎月家賃収入が得られるため、残された家族の収入保障にもなります。

レバレッジをかけて資産を築くことができる

不動産投資ローンは、手元資金がなくても、借入により手元資産より大きな不動産を購入し、より大きな資産を築くことができます。

不動産投資はもともと地主で土地を持つ人がローンを借りて建物を建てる、相続で受けた賃貸経営をもっと広げるために借りるというものだと考えるかもしれません。

しかし、最近では土地などの資産を持たない普通の会社員が、ローンにより不動産を購入し、その不動産を貸出し、賃貸収入を副業として得るという方もいます。

これを借入を利用したレバレッジといいます。

例えば、自己資金500万円を持っていた時、自己資金のみで運用したときと、借入を利用して運用したときでは以下のように運用益は大きくことなります。

借入を利用することで、レバレッジ効果で運用益を大きくすることができるのです。

利回り8% 自己資金のみ500万円 借入を利用する3,500万円
(内自己資金500万円)
年間収益 40万円 280万円
30年後利益 1,200万円 8,400万円

レバレッジを利かした運用は、株の先物取引や信用取引、FXなど通常危険といわれていますが、不動産の場合は安定した家賃収入を得られ、株のように価値が全くなくなるということがないため、株などに比べれば安全といえます。

節税対策として

会社員なら給与収入と不動産の赤字を相殺して、給与収入を減らして所得税を減らすこともできます。

不動産の購入当初はローンの支払い利息も高く(残高に対して利息がかかるため支払い始めの支払利息は高くなる)、建物の減価償却費、不動産取得税もかかるため、赤字になる可能性が高いといえます。

不動産所得の赤字は他の所得と相殺できるため、会社員の給与所得や自営業(法人ではない)の方なら事業所得の黒字と相殺することができます。

ただし、不動産の購入資金にかかるローンの支払利息を経費として計上した場合、土地部分の支払利息は不動産所得が赤字の場合他の所得とその部部分を相殺することができません(黒字は可能)。

空室リスク

空室が起きればその間のローンの月々の返済は手元資金で補わなければなりません。

そして、経年劣化により3年、5年、10年ごとに室内のクーラーやトイレ、お風呂などの設備の交換が必要になることがあります。

設備費用は高額になるので、いつでも資金を拠出できるようにしていなければなりません。毎月手数料を支払うことで設備費用を支払わなくてもよいプランもあり突然の出費を免れることができますが、その分手数料は高く手取り家賃が少なくなります。

不動産投資ローンの審査は厳しい?

投資物件の収益性と空室リスクに耐えられるかをチェック

不動産投資ローンにかかる審査は、他の住宅ローンや自動車ローンなどとは異なる審査方法となります。

審査は申込者の収入面と担保の価値をみますが、その価値の出し方が異なります。

不動産投資は担保に収益性のある不動産を入れるため、担保の収益性を見ます。期待できる家賃収入、想定される不動産価格はある程度予想できます。

不動産投資にかかる不動産価格は利回りで決まります。

利回りがなくなるほど高くなることはなく、不動産価格が下がって利回りが上がれば買われ、家賃収入が得られます。賃借人がいる限り大きく下がる可能性は低くなります。

このことから、家賃収入である程度不動産価格は想定でき、その収益性を見ることにより担保価値を測ります。家賃収入をきちんと見込める物件を選べば、担保の審査は通ることができます。

収入面では、収入の5倍程度まで借りられる可能性がありますが、空室になってもその間の返済をきちんとできるだけの安定した収入があるかどうかを確認します。

また、収入は会社員であれば定年後なくなっていく可能性もあり、不動産投資ローンで家賃収入を返済に充てるためには(期間が短いと家賃収入より月々の返済額が大きくなってしまうため期間を長くすることが多い)、20~35年の長期ローンになることもあるでしょう。

45歳を超えるとどんなに収入があっても借入しにくくなる可能性が出てきます。

現在の借入している金額、今後の年間返済額もみます。返済額が大きければ、空室になったときにいくら収入があっても返済する余裕がないからです。

借入金額は、住宅ローンはもちろん、自動車ローン、教育ローン、カードローン、太陽光ローンなど返済しているすべての借入をみます。

審査のポイント

・投資物件の収益性
・申込者の年齢
・申込者の年収
・すべての借入金額

資産はなくても会社員で年収の高い方は、その安定した収入を武器に大きな借入をしやすいため、大きく不動産を持つことができます。年収が高ければ超過累進課税により多くの税金を支払っていますがその税金を減らし、将来大きな資産を築くことができるでしょう。

住宅ローンの返済中に不動産投資ローンを借りることは可能?

住宅ローンを返済中でも不動産投資ローンを組むことはできます。

ただ、住宅ローンの返済額を含めて、空室時に返済する余裕がないような収入であれば審査を通らない可能性はあります。銀行の審査の前に、不動産会社等にすべての借入金額を開示することで審査落ちを防ぐことができます。

不動産投資ローンと住宅ローンの違いは?

不動産投資ローン、住宅ローンともに購入した不動産を担保にして借りるローンですが、以下のような違いがあります。

不動産投資ローン 住宅ローン
金利 変動金利1.8~3% 変動金利0.5%程度
条件 ・購入物件を担保にする ・購入物件を担保にする
・申込者本人の居住が必要
審査 ・投資物件の収益性
・年収
・年齢
・担保の売却価値
・年収
・年齢
税制 ・支払利息を不動産所得の経費にでき、赤字を他の所得と相殺できる(土地部分の支払利息の赤字は除く)。 ・住宅ローン減税により借入金額の0.7%分の直接減税を受けられる

住宅ローンを不動産投資ローンの代わりにすることはできる?

上記不動産投資ローンと住宅ローンの違いを見ると、金利が大きく違います。

住宅ローンは非常に低金利で借りることができるほか、住宅ローン減税が受けられるため、住宅ローンで借りたいと考える方もいるでしょう。

しかし、住宅ローンは必ず本人が居住する必要があり、転勤等で居住できなくても家族が住んでいる必要があります。もし、居住せずに他人に貸出していることがわかれば、即一括返済を求められる可能性が出てきてしまいます。

2019年に住宅ローンの「フラット35」を不動産投資目的に不正利用した問題が発覚した。住宅ローンは申込者本人の居住が要件とされているため、フラット35を提供する住宅金融支援機構では不正利用した利用者に対し、一括返済を要求しました。

この問題には不動産販売業者やサブリース会社が不正を主導した可能性もありますが、住宅ローンを不正利用したことで、一括返済を求められたケースです。

一括返済を求められれば投資物件を売却せざるほかなく、購入から時間が経っていない場合大きく損をしてしまう可能性があります。

また、全額返済できなければ自己破産を視野に入れるようになり、自己破産後はその後10年は新たな借入が難しくなります。

(参考)
日経新聞 2020年2月4日「住宅機構 一括返済を要求『フラット35』を不正で」

不動産投資ローンを利用するメリット・デメリット

不動産投資ローンを利用して、不動産投資を始めるときのメリット、デメリットをまとめてみました。

メリット

・自己資金がなくても不動産を購入できる
・レバレッジをかけて資産形成できる
・家賃収入が期待できる
・生命保険の代わりになる
・老後の保障
・給与収入と赤字を相殺できる

デメリット

・空室リスクがある
・他のローンが組みづらくなる
・突然の設備費用がかかる
・管理費用がかかる
・修繕費が年々高くなっていく

おすすめの不動産投資ローン

不動産投資ローンは35年と長期で組むことも多いため、適用金利はできるだけ低い金利が良いでしょう。

ほとんどが変動金利となっており、返済中のその金利は変動しますが、契約時にできるだけ低い金利を選べば、その分基準金利から差し引く優遇金利が大きくなり適用金利は低くなります。優遇金利は契約時から変わらないためできるだけ適用金利が低い金利を選ぶのがおすすめです。

その他には、不動産投資を生命保険の代わりと考えて投資する方は、保障が充実した銀行を選ぶようにしましょう。

おすすめとなる銀行は下記の通りです。

オリックス銀行

借入対象不動産 原則、首都圏、近畿圏、名古屋市、福岡市の居住用不動産
金利 ・3年固定特約型年2.3~3.3%
・5年固定特約型年2.5~3.5%
・変動金利年2.675~3.675%
(購入物件がZEHに該当する場合には年0.05%引下げ)
利用できる方 ・担保提供する購入不動産(以下、「購入不動産」と記載)が首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市の居住用不動産であること
・前年度の税込み年収(自営業の方は所得)が700万円以上で、返済期間中、安定した収入が見込めること
・借入時の年齢が55歳未満であること
・借入期間が、購入不動産の建物耐用年数と築後経過年数により当社が定める期間内※であること

※借入期間の目安
・原則、借入金額が購入金額の90%以内であること
借入期間 最長35年最終返済時80歳未満まで
一般団信 ・死亡・所定の高度障害時にローン残高を保障
・加入時満20歳以上70歳以下終了時80歳未満
団信+介護保障
+0.1%
・上記一般団信に加えて所定の要介護状態になったときローン残高を保障
・加入時満20歳以上満40歳以下終了時満75歳未満
生活習慣病団信
+0.1%
・上記一般団信に加えてがんと診断、または10種類の生活習慣病で入院が継続して180日以上となったときにローン残高を保障
・病気やけがで入院が継続して31日以上となった場合に月々の返済額を保障
・満20歳以上50歳以下万終了時満80歳未満
ワイド団信
+0.3%
・死亡・所定の高度障害時にローン残高を保障
・健康上の理由で一般団信に加入できない方
・満20歳以上50歳以下終了時満81歳未満
借入金額 1,000万円以上2億円以下
繰上返済 ・固定金利期間中
一部・全部繰上返済ともに2%の解約手数料

・変動金利期間中
一部・全部繰上返済ともに1年以内2%、1年超3年以内1.5%、3年超5年以内1%、5年超0.5%の解約手数料

・1回の繰上返済は50万円以上
担保 投資対象不動産
保証人 原則不要
事務手数料 借入金額の2.2%(税込)

オリックス銀行の不動産投資ローンは保障を金利上乗せで充実させることができるのがメリットです。

基本は不動産投資ローンに一般団信が付加されており、死亡時または高度障害時にローン残高がゼロになります。

オリックス銀行では一般団信に加えて、金利上乗せで、介護、がん、生活習慣病の保障を付加することもできます。また、通常一般団信の加入が必須となり、加入時には健康であることが必要ですが、持病等があって一般団信に加入できない方でも金利を0.3%上乗せすることにより団信に加入することができます。

一方で、繰上返済時に一部、全部ともに手数料がかかります。5年以内の返済は高い手数料がかかるため、5年は繰上返済しないと考える方に最適です。

なお、オリックス銀行の不動産投資ローンは投資物件が居住用に限られています。

次に紹介するスルガ銀行は居住用だけではなく、オフィスやホテルなどの用途の不動産にも投資できます。

スルガ銀行

借入対象不動産 ・居住用不動産、オフィス、ホテルなど様々な用途の投資用不動産
・国内全国対応可能
金利 変動年利1.5~4.1%
利用できる方 ・満20歳以上70歳未満最終返済時満85歳未満の方
・一定の資産背景を有している方
借入期間 35年以内
団信 死亡・所定の高度障害時にローン残高を保障
借入金額 10億円以内
繰上返済 ・一部繰上返済
5年以内は繰上返済額の2%の手数料
5年超は6,600円(税込)
・全部繰上返済 5年以内は繰上返済額の2%の手数料
5年超は11,000円(税込)
担保 投資不動産
保証人 原則不要
事務手数料 借入金額の0.55%(税込)

スルガ銀行は不動産投資ローンについて、申込者の源泉徴収票の改ざんなどして不正融資をしていた問題が発覚しました。このときにマイナスイメージを持った方も多くいるでしょう。

しかし、現在は、経営陣を刷新し、不正融資にかかる債権も売却したことで不正融資問題に一定の区切りはついています。

2021年に不動産投資ローンを再開し、以前より審査は厳しくはなっていますが、居住用に限らずあらゆる用途向け、最高10億円まで融資可能になっています。

まとめ

審査は主に収益性、空室リスクに耐えられるだけの収入があるかを見ます。

不動産投資をするときは、空室リスク、利回り、不動産価格下落リスクを中心に慎重に選びます。不動産投資ローン返済中は、空室時の返済、設備交換費用などの突然の出費に耐えられる資金を準備しておきましょう。

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