住宅ローンのダブルローンって何?今の家で残債があるのに新居購入する方法
住宅ローンについて情報を集めていると、ダブルローンという言葉を見かけることもあります。
ダブルローンという言葉から察するに、住宅ローンを2本契約するという意味なのは分かるでしょう。
しかし、夫婦で組むローンのことなのか、別途ローンを組むものなのか、具体的にどのような状態なのかは分からないところです。
そこで本記事では、住宅ローンにおけるダブルローンについて解説します。
ダブルローンのメリット・デメリットはもちろん、向いている人と向いていない人についてもお話するので、興味がある方は、ぜひ最後までお付き合いください。
「今の家で住宅ローンが残っているが新しい家が欲しい!」どうすればいい?
今住んでいる家の住宅ローンが残っているけど、新たに家が欲しいと思ったことはありませんか。
家を購入してローンを返済している中、成人の子どもにマンションを購入してあげたい。
家を購入後、ある理由から別の場所で暮らすことになってしまったなど、もうひとつ家を欲しいというのには、様々な理由があることでしょう。
その場合、選択肢としては2つです。
一つは今の家を売却して、売れたお金で新たに家を購入する方法になります。
そして、もう一つがダブルローンを組む方法です。
ではダブルローンとはどんなローンなのかについて見ていきましょう。
ダブルローンとは
ダブルローンとは、言葉の通り2つのローンを同時に契約している状態で、当然2つの返済を同時に進める必要があります。
例えば、住宅ローンを返済中の家から新居を購入して住み替える場合、現在のローン返済を続けながら新居を住宅ローンで購入する際にローンを組むとダブルローンになります。
他にも、親や子など親族が住む家やセカンドハウスなど2軒目の家を購入するために、新たに住宅ローンを借りる場合にもダブルローンを組むケースがあるのです。
住宅ローン返済中に自動車ローンを組めば、これもダブルローンと呼ばれる状態になります。
そのため、ダブルローンを組んでいる人は意外に多く、決して行ってはダメな行為ではありません。
ただし、単純に数万円する住宅ローンを2軒分支払うため、家計への負担はかなり大きなものとなります。
また、住んでいる家の売却代金で全額返済できなければダブルローンを利用することはできません。
もちろん、売却代金で全額返済できなくても、預貯金などから補充して全額返済できれば、ダブルローンを組むことが可能です。
ダブルローンのメリット
では、ダブルローンを組むメリットは何なのでしょうか?
この項目では、ダブルローンを組むメリットについて解説します。
新しい住居に自分のタイミングで住める
1つ目のメリットは、新しい住居に自分のタイミングで住めることです。
ダブルローンを組まない住み替えの場合、今住んでいる住宅を売却して、その売れたお金で新たに家を購入します。
しかし、今の家が思い通りの時期に売れるとは限りません。
場合によっては、全然買い手が見つからず、お金が手に入る前に欲しかった住宅が売れてしまう恐れがあるのです。
その点ダブルローンなら、家が売れなくても新居を購入できるので、いつでも好きなタイミングで購入して移り住めます。
仮住まいの費用がかからない
2つ目のメリットは、仮住まいの費用がかからないことです。
今住んでいる家の売却と次に住む家の購入を同時に進めると、買い手への引き渡しの期限内に前居を出る必要があります。
そのため、新居を購入してから今の家を売却しない限り、仮住まいが必要です。
今の家から仮住まいに引っ越しをして、新居が決まったら仮住まいから新居に引っ越すという2回の費用がかかります。
その点ダブルローンを組めば、今の家から直接新居へ引っ越せるので、費用はもちろん手間もかからずに済みます。
内覧してもらいやすい
3つ目のメリットは内覧してもらいやすいことです。
今住んでいる家を売ったお金で新居を購入する場合、売却活動はまだ家に住んでいる状態で始める必要があります。
当然、内覧も人が住んでいる状態で見てもらう必要があるため、どうしても確認できる範囲が限定されて、満足のいく内覧ができません。
その点ダブルローンを組めば、完全に家を空けた状態で内覧してもらえるので、隅々まで確認して納得してもらったうえで購入してもらえます。
細かい点まで見られるので、買い手が見つかるのも早くなるメリットがあります。
ダブルローンのデメリット
ダブルローンを組む場合、当然メリットばかりではありません。
そこで続いては、ダブルローンを組むデメリットについて解説します。
返済負担が重くなる
1つ目のデメリットは返済負担が重くなることです。
そもそも住宅ローンは借入額が数千万円という大きな金額なので、1本のローンを組むのも大変という方は多いでしょう。
ダブルローンは、そんな大きな金額の返済を2つも同時に行う必要があるため、当然負担はかなりの金額になります。
中には、ダブルローンを組みたいと思っても審査に通らず断念する方もいるほどです。
今の家を賃貸に出せない
2つ目のデメリットは今の家を賃貸に出せないことです。
そもそも住宅ローンの契約では、借り入れ条件として「自らの住居とする」という項目が含まれています。
そのため、今の家を売りに出さずに賃貸にするのは契約違反です。
もちろん、金融機関に相談して許可が得られるケースもありますが、原則としては自らの住居にしないとダメとなっており、新たにローンを組む場合は売却するのが一般的となっています。
ダブルローンに向いている人・向いていない人
ダブルローンは、負担が大きくなるため誰にでも向いているわけではありません。
では、どのような人に向いていて、どのような人に向いていないのでしょうか?
この項目では、ダブルローンに向いている人と向いていない人について解説します。
向いている人
ダブルローンに向いている人は以下の該当する人です。
返済能力がある人
70歳くらいまでに完済できる人
まず、返済能力がないとダブルローンを組む際の審査に通りません。
ちなみに、返済能力は返済比率を基に判断されます。
返済比率とは、年収に対してローンの返済額が締める割合のことを指します。
一般的には返済比率30%が目安となっているものの、基準は金融機関によって異なるため、色々な金融機関に相談してみるのがおすすめです。
次に、どの住宅ローンも完済時の年齢を審査基準に設けており、その年齢の範囲内でなければ他の条件がどんなに良くても審査に通りません。
そして、住宅ローンの完済時の年齢は、多くが70歳としています。
もし、30年ローンを組むなら、現在の年齢が40歳以下でなければダメというわけです。
以上、この2つに該当していればダブルローンに向いていると言えるでしょう。
向いていない人
ダブルローンに向いていない人は以下に該当する人です。
計画的に返済できない人
経済的余裕が無い人
まず、ダブルローンは負担が大きいため、計画的な返済が必須です。
返済計画を立てられなかったり、計画を立てても予定通りに返済できなかったりする方には向いていません。
また、負担額は相当なものなので、経済的な余裕がない人にもダブルローンは向いていないでしょう。
ちなみに、これらの能力があるかどうか判断するために、住宅ローンの審査では年収に加えて雇用形態や勤続年数、他社からの借入状況などをチェックするわけです。
ダブルローンを利用する時の条件4つ
ダブルローンは誰でも利用できるわけではありません。
条件を満たしていないと利用できないので、ここではダブルローンの利用条件を確認していきましょう。
今の家を売却したお金で残債を完済する
1つ目の条件は今の家を売却したお金で残債を完済することです。
例えば、今住んでいる家が高くても3,000万円にしかならないのに、新たに購入を検討している住宅が5,000万円ではダブルローンは組めないでしょう。
もちろん、足りない金額を預貯金でカバーできるなら問題ありません。
しかし、今の家がいくらで売れるのか分からないまま、無計画に新居の購入を検討するとダブルローンが組めない可能性があるので、まずはいくらで売れるか事前に確認するようにしてください。
先にローンを組んでいる金融機関に了承してもらう
2つ目の条件は、先にローンを組んでいる金融機関に了承してもらうことです。
そもそも、住宅ローンは一度に1つしか借り入れできません。
そのため、先にローン契約している金融機関にダブルローンを組んでも良いのか確認して、了承を得る必要があるのです。
当然、金融機関が許可してくれなければ、ダブルローンは断念せざるを得ません。
もしくは、許可してくれる金融機関に借り換えをして、そのあとでダブルローンを組むといった方法であれば利用できる可能性があります。
新旧合わせたローンを返済する能力がある
3つ目の条件は、新旧合わせたローンを返済する能力があることです。
住宅ローンをダブルで組めば、当然、毎月負担額も倍近くになります。
また、住宅ローンを組む際は年収に占めるローンの年間返済額の割合を30%程度に収めた方が良いとされているのです。
例えば、現在の年収が600万円なら30%は180万円になり、月々の負担は「180万円÷12か月=15万円」となります。
仮に、現在の返済額が毎月10万円なら、残りは5万円しかない計算です。
このように、2つのローンを合わせても年間返済額の割合が目安の範囲内に収まらない限り、ダブルローンを組むことは難しいでしょう。
完済時の年齢が条件をクリアしている
4つ目の条件は完済時の年齢が条件をクリアしていることです。
多くの金融機関では、完済時に何歳になっているのかという条件を審査項目に盛り込んでいます。
そして、上限は住宅ローンによって異なるものの、大抵の金融機関では70~80歳までの完済を前提としています。
仮に、50歳で35年ローンを組もうとすると、完済時は85歳になっているためダブルローンは組めません。
もちろん、金融機関によって上限が異なるので、ダブルローンを組む際は条件を確認するようにしてください。
住み替えローンという手段もある
ダブルローンは、2つのローンの支払いが重なる時期があるため、負担が大きく利用できる方は限定されてしまいます。
しかし、住み替えローンという方法なら、返済を2つにせずに借り入れが可能です。
住み替えローンとは
住み替えローンとは、今の自宅を売ってもローンを完済できない時に、その残債と新しい家の購入資金をまとめて貸してくれるサービスです。
ローンを組む際は同じ金融機関を利用するため、返済額が二重にならず毎月の返済額を調整できるメリットがあります。
また、ローン残債があることが前提なので、担保物権の1.5~3倍の水準での借り入れが可能です。
前の家と新たに買う家のローンを一本化したい方は、住み替えローンを選ぶのも良いでしょう。
ダブルローンは住宅ローン控除を受けられませんが、住み替えローンは住宅ローン控除の適用対象のため、その点においても住み替えローンの方がお得と言えます。
まとめ
今回は、住宅ローンのダブルローンについて解説しました。
ダブルローンとは、その名の通り2つのローンを同時に組む状態を意味しており、新たに住宅を購入したい方に役立ちます。
しかし、毎月の返済が一時的に二重になるため、返済能力がない方や計画通りに返済できない方には向いていません。
また、そもそも現在借り入れている金融機関が許可してくれて、なおかつ新しく借り入れる金融機関の審査に通る必要があるため、クリアできるのは一部の方に限られるでしょう。
ダブルローンは相当経済的に余裕がある人が選択する方法なので、入念にシミュレーションをして本当に可能か判断するようにしてください。
また、どうしても新しい家を購入したいなら、ダブルローンより負担が軽くて済む、住み替えローンという選択肢もあります。