住宅ローンを多めに借りることはできる?NGケースやメリット・デメリットを解説
住宅ローンを借りる際、中古物件のリフォームや諸費用にいくらかかるか分からないから、少し多めに借りたいと考える方もいるでしょう。
しかし、住宅ローンを多めに借りることはできるのでしょうか?
また、多めに借りられたとして、使い道に制限がないのかについても気になるところでしょう。
そこで本記事では、住宅ローンを多めに借りることができるのか解説します。
借りられるケースと借りられないケースに加えて、住宅ローンを多めに借りることメリット・デメリットについてもお伝えします。
これから住宅ローンを借りようと計画しており、その際少し多めに借りたいと考えている方は、役立つ情報が満載なので、ぜひ最後までお付き合いください。
住宅ローンを多めに借りることはできる?
住宅ローンを多めに借りることを「オーバーローン」と呼び、資金使途によっては利用が可能です。
しかし、住宅ローンはあくまでマイホームを購入するためのローンなので、その他の利用はできません。
そのため、多めに借りることができるのは、住宅に関する次の2つの場合のみです。
- リフォーム費用
- 住宅ローンの諸費用
上記以外の使い道で、多めに借りることはできません。
例えば、車や家具の購入、資産運用、生活費など、住宅に関係ない場合は利用不可です。
では、次の項目から利用できるケースと利用できないケースについて詳しく解説していきます。
住宅ローンを多めに借りられるケース①:住宅ローンの諸費用に充てるお金
そもそも住宅ローンは、家を購入する際に必要となるお金を融資してくれるサービスです。
そして、住宅購入には土地や建物代の他に様々な諸費用がかかります。
住宅購入時にかかる主な諸費用 | |
---|---|
諸費用 | おおよその金額 |
登記費用 | 5000万円の新築一戸建てで約30~45万円程度 |
ローン保証料 | 借り入れ価格×約2%(取扱銀行によって異なる) |
火災保険料 | 35年の火災保険で30万円~45万円程度 |
ローン諸経費 | 51700円(取扱銀行によって異なる) |
固定資産税等精算金 | 5000万円の新築一戸建で年額13万円~20万円程度 |
仲介手数料 | 物件価格×3%+6万円 |
契約書印紙代 | 10000円程度(物件価格によって異なる) |
一般的に新築住宅は物件の3~6%で、中古住宅は物件の6~10%の諸費用がかかります。
もし、新築で3,000万円の住宅を購入しようとしている場合、諸費用は90万円~180万円程度となります。
しかし、多くの住宅ローンでは借入額に諸費用は含まれていないため、それぞれの事情を踏まえたうえで、諸費用も含めて融資してくれるケースがあるというわけです。
ちなみに、住宅ローンによっては最初から諸費用まで含めて融資してくれる商品もあります。
また金融機関によって、どこまで住宅ローンの対象になるのかといった点も異なります。
中には、カーテンや照明器具なども住宅ローンでまかなえる商品があるので、契約する際はどこまでカバーしているのかについても確認するようにしておきましょう。
住宅ローンを多めに借りられるケース②:リフォーム費用
住宅ローンの返済中であっても、自宅をリフォームする際は「リフォームローン」を利用するのが一般的です。
しかし、リフォームローンは住宅ローンより金利が高めに設定されています。
- 住宅ローンの適用金利の相場:0.5~2.0%
- リフォームローンの適用金利の相場:2.0~4.0%
そこで、少しでも低金利でリフォームをする際に利用されるのが、新たな金融機関で今支払っている住宅ローンを借り換えして、その中にリフォーム費用を組み込ませるという方法です。
住宅ローンの低い金利の恩恵が受けられるうえに、リフォーム費用と住宅ローンを一本化できるメリットがあります。
近年では、このような使い方をする人が増えたため、多くの金融機関で「リフォーム費用を含めた住宅ローンの借り換え」というプランが提供されるようになりました。
ただし、住宅ローンの借り換えは審査に時間がかかりやすいので、急いでいる場合はリフォームローンを利用した方が良いでしょう。
住宅ローンを多めに借りられないケースとは?
住宅ローンを多めに借りられるケースは、住宅に関わるお金が必要な時だけです。
ただ、住宅に関わると言っても、どこまでが住宅関連なのか分かりにくいものもあるでしょう。
例えば、家具や家電を買う場合はどうなのでしょうか?
確かに、住宅ローンの中にはカーテンや照明器具は住宅関連とみなして融資してくれる商品がありますが、家具や家電の購入はNGです。
他にも、車を購入したり生活費に充てたりするのも契約違反となります。
もし、金融機関に黙ってこれらの資金として使ってしまうと、詐欺など法律違反とみなされて罰せられる可能性があります。
以下のような使い道は絶対にしないようにしましょう。
住宅ローンのNGな使い道
- 生活費に充てる
- 借金の返済
- 資産運用
- 家具や家電の購入
- 車やバイクの購入 など
住宅ローンを多めに借りるメリット
ここまで、住宅ローンを多めに借りることのできる使い道とNGな使い道について解説しました。
では、住宅ローンを多めに借りることのメリットは何なのでしょうか?
この項目では、どのようなメリットがあるのか解説します。
自己資金が少なくても家を持てる
住宅ローンを多めに借りる1つ目のメリットは、自己資金が少なくても家を持てることです。
一般的に、住宅を購入する場合は全額ローンでまかなうのではなく、頭金を用意して一部は自己資金で支払います。
しかし、実際に家を買うとなれば、頭金以外に住宅購入の3~10%程度の諸費用も必要です。
中には、頭金なしのフルローンで購入を検討している方もいるので、そのような方にとって諸費用は、結局自己資金を用意する必要が出てくるため大きな壁となります。
その点、諸費用も含めて多めに貸してくれる住宅ローンが見つかれば、自己資金が少なくてもローンが組めるので家を持つことが可能です。
「頭金を入れずにフルローンで購入するにしても、諸費用は用意しなければ」と考えていた方にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
住宅ローン控除をより多く受けられる
住宅ローンを多めに借りる2つ目のメリットは、住宅ローン控除をより多く受けられることです。
そもそも住宅ローンを組むと、所得税や住民税控除を一定期間受けられます。
この制度を利用すれば、毎年の年末時点で以下の2つのうち、少ない方の金額の1%にあたる額を、10年間にわたり所得税から控除できます。
■住宅ローンの残高
■住宅の取得対価:住宅の購入代金や建築費
そして、住宅ローン+諸費用の額で多めに借りると、この控除額が大きくなる可能性があります。
というのも、多めに借りた方が住宅購入代金の残高が減るペースは遅くなり、年末の時点で見比べると多めに借りた方が、住宅ローンの残高が多く残る計算となるのです。
これにより、より多くの控除が受けられるというわけです。
低い金利で資金を手にできる
住宅ローンを多めに借りる3つ目のメリットは、低い金利で資金を手にできることです。
住宅ローンは、数あるローンサービスの中でも特に金利が低い設定となっています。
実際、カードローンやフリーローンの金利相場と比較してみると、いかに住宅ローンの金利が低いか分かります。
- 銀行の住宅ローン:0.5%~
- 銀行カードローン:1.5~15%前後
- 銀行フリーローン:1.5~15%前後
もし、諸費用を住宅ローンに含められず、その他のローンでまかなおうとすると、高い金利で借りる必要があります。
その点、住宅ローンで諸費用も捻出できれば、低金利で資金を手にできるのです。
当然、返済も住宅ローン1本なので、手間がかからずに済みます。
住宅ローンを多めに借りるデメリット
住宅ローンを多めに借りるメリットは複数ありました。
しかし、デメリットとなる部分がないわけではありません。
そこで続いては、住宅ローンを多めに借りるデメリットについて解説します。
諸費用分の金利が高くなる場合がある
住宅ローンを多めに借りる1つ目のデメリットは、諸費用分の金利が高くなる場合があることです。
そもそも住宅ローンの金利は、カードローンやフリーローンといった商品より金利が低めに設定されています。
諸費用も住宅ローンでまかなえるとなればお得ですが、実は金融機関によっては諸費用分に対して住宅ローンの金利を適用しません。
諸費用の金利は別に設定していて、なおかつ住宅ローンの金利より高い設定となっているのです。
もちろん、住宅ローンの金利と諸費用分の金利を同じにしている商品も多いので、申し込む際にしっかりチェックすれば避けられるデメリットではあります。
なので、借り入れ前に諸費用分の金利も細かくチェックするようにしましょう。
返済の負担が大きくなる
住宅ローンを多めに借りる2つ目のデメリットは、返済の負担が大きくなることです。
当然、借入額が多くなれば毎月の返済額は増え、利息もかさみます。
利息は、元金に対する金利で計算されるため、借入額が多ければ多いほどトータルの利息額も増えてしまいます。
では、全く同じ条件で借入額だけ変えた場合、どれくらい返済額に差が出るのか見ていきましょう。
借入額 | 3,000万円 | 3,500万円 |
---|---|---|
借入期間 | 30年 | |
返済方法 | 元利均等返済 | |
金利タイプ | 固定金利 | |
金利 | 0.8% | |
毎月返済額 | 93,760円 | 109,387円 |
年間返済額 | 1,125,120円 | 1,312,644円 |
総返済額 | 33,753,600円 | 39,379,320円 |
総利息額 | 3,753,600円 | 4,379,320円 |
このように、同じ期間で借り入れているため、当然毎月の返済額が多めに借りた方が「1万5,627円」も高くなります。
そして最も注目すべきは総利息額で、多めに借りた方が「62万5,720円」も増えてしまいました。
毎月の返済額だけなら、借入期間を30年から35年などにすれば減らせます。
ただし、返済期間を長くすると総利息額はさらに増えるので注意が必要です。
また、住宅ローンを多めに借りたいと思っているなら、返済額が増えるというデメリットは十分に理解したうえで利用しなければなりません。
まとめ
今回は、住宅ローンを多めに借りることはできるのか解説しました。
住宅ローンは家を購入するために利用できるローンサービスなので、基本的に家の購入に関わる費用でしか借り入れはできません。
しかし言い換えると、家を買う費用であれば土地や建物代でなくても使い道があるわけです。
実際、諸費用や借り換え時のリフォーム代としてなら、住宅ローンが利用できるケースがあります。
中には、家具や家電、生活費、資産運用などには利用できないものの、カーテンや照明器具などの購入費用に使える住宅ローンもあるので、自己資金が少ない方は利用を検討してみると良いでしょう。
万が一金融機関に黙って使ってしまうと契約違反となり、最悪の場合法律で罰せられる可能性があるので注意しておきましょう。