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住宅ローンを親が払うことはできる?親が払うときの注意点や税金対策について解説

結婚などのお祝いで、子どもマイホームをプレゼントしたいと考える親御さんはいるでしょう。

子ども側からしても、若い内からマイホームを持てるのは有難いですが、そこで一つの疑問がわいてきます。

それは、「住宅ローンを親が払うことは可能なのか?」といった疑問です。

確かに、住宅ローンでは「名義人がその物件に住むこと」といった契約が含まれており、親が住宅ローンを支払うと契約違反になるのではと考えてしまいます。

そこで本記事では、親が住宅ローンを払うことができるのか解説します。

いくつかの方法や条件があるので、親に住宅ローンを払ってもらう予定がある方は、ぜひ最後まで読んでいってください。

住宅ローンを親が払うのってアリ?

まず、結論を言ってしまうと、親が住宅ローンを払っても法律的には問題ありません。

ただし、親が子どものローンを支払う場合、税務署から贈与税に関する指摘を受けるケースがあります。

例えば、ローン返済を肩代わりしてももらった場合、ローン残高が課税対象となりますので、ローンを組んだ時点から親が返済している場合は、全額が贈与税の対象となります。

このように親など家族であっても、ローン返済のための資金援助は贈与税の対象となるので注意が必要です。

もちろん、きちんと対策すれば親が住宅ローンを支払っても問題はありません。

では、次の項目から住宅ローンを親が払う方法について解説していきます。

住宅ローンを親が払う方法1:頭金や月々の支払いを行う

住宅ローンを親が払う方法1つ目は、頭金や月々の支払いを行うことです。

というのも、頭金や月々の支払いであれば金額が比較的少額になるため、非課税となる「住宅取得等資金の贈与の特例」という制度を利用できます。

住宅取得等資金の贈与における特例の概要は次の通りです。

住宅取得等資金の贈与における特例の概要

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下「非課税の特例」といいます。)。

引用:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

ちなみに、一定の耐震性能や省エネルギー性能、またはバリアフリー性能などを有する良質な住宅用家屋であれば1000万円、それ以外であれば500万円まで贈与税がかかりません。

この制度のポイントは、住宅用家屋の新築などをするための贈与が一定額まで非課税になる点です。

そのため、すでに住宅用家屋を購入して、住宅ローンを組んでいる途中で資金援助した場合は、この特例が使えないので注意してください。

あくまで、これから住宅を購入する場合であれば、頭金や月々の支払いが上記の限度額以内で非課税になるというわけです。

受贈者の要件は必ずチェックしよう

受贈者の要件を満たす必要があるので、必ず確認するようにしてください。

受贈者の要件

次の要件のすべてを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。

(1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。

(注) 配偶者の父母(または祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。

(2) 贈与を受けた年の1月1日において、18歳(注)以上であること。

(注) 「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。

(3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。

(4) 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます。)。

(5) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。

(6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。

(注) 受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。

(7) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が外国人贈与者または非居住贈与者である場合を除きます。)。

なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。

(注) 「一時居住者」、「外国人贈与者」および「非居住贈与者」については、コード4432「受贈者が外国に居住しているとき」をご覧ください。

(8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

(注) 贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。

引用:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

また、受贈者側の要件に加えて、住宅の要件も定められています。

住宅の要件としては、「日本国内にある住宅であること」や「対象となる家屋の床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつ床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるもの」などがあります。

詳しい要件については、国税庁の「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」をご確認ください。

住宅ローンを親が払う方法2:生前贈与で住宅ローンを一括返済する

住宅ローンを親が払う方法2つ目は、生前贈与で住宅ローンを一括返済することです。

生前贈与とは、自分が生きている間に自分の財産を他者に無償で与えることを指します。

この生前贈与を利用すれば、生前に財産を承継できるのはもちろん、相続のトラブルが起こりにくくなったり、相続性を節税できたりします。

そして、子どもの住宅ローンで相続時精算課税の制度や住宅資金贈与特例の特例を使えば、最大3,700万円までを税金を支払わずに援助できるのです。

相続時精算課税と住宅資金贈与特例の概要と、抑えられる税金の内訳は次の通りとなります。

制度 概要
相続時精算課税 60歳以上の両親や祖父母から20歳以上の子または孫に財産を渡すときに選べる制度
住宅資金贈与特例 両親や祖父母などの直系尊属(父母や祖父母より前の世代で血の繋がりある人)から新築または増築するときに、条件を満たすことで贈与税がかからない特例
相続時精算課税の制度を使った場合:最大2,500万円
住宅資金贈与特例の特例を使った場合:最大1,200万円
2つの制度を使った場合の合計:最大3,700万円
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この生前贈与を上手に活用すれば、贈与性の発生なしに親が子どものために住宅ローンを支払えます。

利用条件は必ずチェックしよう

ただし、それぞれ利用するには条件があるので、必ず確認するようにしてください。

制度 利用条件
相続時精算課税 ■生前贈与を受ける人は年の1月1日に20歳以上
■生前贈与を受ける人は贈与者の直系卑属
住宅資金贈与特例 ■贈与を受けた年の所得税にかかる収入が2,000万円以下
■平成21~26年分までの贈与税の申告で『住宅取得等資金の非課税』の適用を受けていない
■結婚相手や親族から住宅用の家を受け取っていない
■贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅資金の全額を家屋に充てる(新築など)
■贈与を受けた年の翌年の3月15日までに家屋に住む、または移住が見込まれる
■贈与を受けた時に国内にいること

また、控除額を超える贈与をする場合には、贈与税が発生するので注意してください。

住宅ローンを親が払う方法3:貸与という形でお金を渡す

住宅ローンを親が払う方法3つ目は、貸与という形でお金を渡すことです。

貸与とは、お金や物などを貸し与えるという意味で、親子間でのお金のやり取りなので、土地や建物などを担保として設定する必要はありません。

また、家族間なら返済期間や金利なども自由に決められるので、お互いが納得できる形でやり取りができます。

ただし、あくまで貸しているだけなので、親子間であっても返済計画を立てて、返していかなければなりません。

返済している事実がないとバレると、贈与税の支払いが発生する恐れがあるので注意が必要です。

贈与と見なされないように借用書の作成と計画的な返済を

貸与と言いながら実際は贈与している状態になっていると、贈与性が発生する恐れがあります。

親子間であっても、貸与としている以上返済計画や金利の設定はしっかりと行わなければなりません。

他にも、次のような状態になっていると、贈与と見なされる恐れがあります。

返済不能な高額な借入
金利ゼロあるいは極端な低金利
返済期限を設けていない
約定どおりに弁済がされていない

贈与性の発生を避けるためにも「必ず借用書を作る」「お金のやり取りは銀行口座で行う」「実際に返済していく」といったように気をつけていきましょう。

住宅ローンを親が払う方法4:家を共同名義にする

住宅ローンを親が払う方法4つ目は、家を共同名義にすることです。

共同名義とは、複数人で1つの財産を所有するという意味で、住宅取得においては親と子が資金を共同で出し合って、負担額に応じた持ち分を所有します。

負担額に応じた登記を行えば、仮に援助という形であっても贈与とはならないので、贈与税の支払いもありません。

また、あくまで共同で所有しているだけであり、必ずしも親子で同居しなければならないといった決まりもないのです。

親の負担が大きくなったり贈与と見なされたりしないよう注意

共同名義にした場合、親も不動産取得税や固定資産税の一部を負担する必要があります。

そして、税額は持ち分に応じた割合で決まるため、親の方が多く資金を出している場合、子どもより負担額が多くなるというデメリットがあるのです。

加えて、負担割合と持分割合が異なる場合は、贈与と見なされて税金の支払いが発生する可能性があります。

例えば、4,000万円の住宅を購入した際に、子どもが2,500万円で親が1,500万円の資金を負担したとします。

その場合、持分は「子ども62.5%」で「親37.5%」です。

それなのに登記で子どもの持分を80%とすると、差が17.5%になり約700万円が贈与と見なされてしまいます。

この場合、贈与性が基礎控除の110万円を超えているため、贈与税を支払う必要が出てきます。

このように、贈与性が発生しないようにするためにも、負担割合と持分割合には気を付けるようにしておくべきでしょう。

まとめ

今回は、住宅ローンを親が払うことはできるのか解説しました。

もちろん、親が住宅ローンを支払うのは可能です。

ただし、普通に支払うと贈与税がかかってしまうので、何かしらの対策を講じる必要があります。

その対策として考えられるのは次の4つです。

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頭金や月々の支払いだけ行う
生前贈与を利用する
貸与という形でお金を渡す
共同名義でローンを組む

これらの方法を上手に活用すれば、贈与税の支払いなしに親が住宅ローンを支払うことは可能です。

ただし、それぞれ条件ややり方があり、間違った方法で行うと贈与と見なされる恐れがあります。

どの方法を利用するにしても、必ず条件などを確認し、理解をしておくことが大切です。

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